「コンビニ百里の道をゆく」は、52歳のローソン社長、竹増貞信さんの連載です。経営者のあり方やコンビニの今後について模索する日々をつづります。

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 緊急事態宣言が解除されました。飲食店でお酒を楽しむ人たちの姿が、少しずつみられるようになってきましたが、コロナ禍のこの1年半ほどは、「お酒を飲みながら語らう文化」にとって試練の日々でした。

 私もコロナ以前は、全国のマチマチに出張した際、若手社員やオーナーさんとよく、晩御飯をご一緒していました。でも、このところは現場を回った後、夜一人で食事をしてホテルに戻る。これが寂しい。本当ならお酒や食事を共に楽しみながら、「こういうところ、すごく頑張っているよね」などと皆で認め合ったりしたいところです。

「飲みニケーション」と表現すると少し大げさですが、ともに一つの目標を掲げて仕事をしている仲間と、「たまには、一杯いくかい?」と集まる。時に面白おかしく、昼間は言えないような馬鹿話もしつつ喜怒哀楽を出し合う。そして「明日からまたがんばろうぜ」と思いを分かち合う。やはり、大事な文化なんじゃないかなと思います。

 そんな「たまには一杯」も、昔は「やり過ぎ」な面もありました。
 私の世代が最後かもしれませんが、お客様と夕食に行ってグラスを傾けた後、また同じ課の仲間と飲んで。その後、また別の酒の席に合流したりして(笑)。タクシーでの深夜帰宅になることもありました。いまは個々の価値観を大事にする生き方が尊重されるようになりましたし、無理に飲みに行く必要はもちろんないでしょう。

 ただ、人間は「集まって、顔を見て、泣き笑う」ことを通じ、様々なことを分かち合うことがとても大切です。そこに皆がリラックスする雰囲気が作れるお酒があれば、なお結構。

 コロナが収束して、もっともっと心置きなく、仲間とお酒を楽しめる日が、本当に待ち遠しいですね。

竹増貞信(たけます・さだのぶ)/1969年、大阪府生まれ。大阪大学経済学部卒業後、三菱商事に入社。2014年にローソン副社長に就任。16年6月から代表取締役社長

※AERA 2021年10月25日号