タレントでエッセイストの小島慶子さんが「AERA」で連載する「幸複のススメ!」をお届けします。多くの原稿を抱え、夫と息子たちが住むオーストラリアと、仕事のある日本とを往復する小島さん。日々の暮らしの中から生まれる思いを綴ります。

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 20〜30代の若者や女性が最も重視する政策は「ハラスメントや性暴力のない社会に」。「目指せ!投票率75%プロジェクト実行委員会」が8月末に行ったアンケートでは、4万5千件ほどの回答があり、その8割は女性、年齢では20代と30代が75%余を占めました。衆院選で重視するのは、現役世代の働く環境の改善やコロナ対策、子育て環境の改善。個別の政策で重要だと思うものは「ハラスメントを禁止し、性暴力被害者を支援してほしい」が80.0%で1位でした。

 意外に感じた人もいるでしょう。偏った調査だ、ハラスメントや性暴力なんて一部の話で、社会全体の問題ではないと感じた人もいるでしょう。そんなあなたに質問です。

 例えば、多くの女性にとって満員電車に乗れば痴漢に遭うのが当たり前の社会は、大した問題ではないでしょうか。望まない性行為をされた人への支援や加害者への処罰は現状で十分でしょうか。女性の声ばかり、と思いましたか。被害者には男性もいます。

 職場でのハラスメントはどうでしょうか。パワハラやセクハラは「仕事にはつきものの厳しさ」で、被害を訴えるのは甘えだと感じますか。深刻な被害なんて聞いたことがないですか。では、あなたがそう思って働いていられるのはなぜでしょうか。見えていないもの、考えないようにしてきたものはありませんか。なぜ、調査に答えた若者や女性は、あなたにとってさほど重要ではないことを重要だと考えているのでしょうか。その大きなギャップは、あなたの身近にもあるはずなのです。

 もうすぐ衆院選です。選挙は勝敗予想のゲームではなく、意思表示。日頃「これっておかしいよね」「こんな社会は嫌だ」と思っていることを、同じ考えの候補者や政党に投票して表明する機会です。どんな大勝も、小さな一票の集積です。まずは投票を。

小島慶子(こじま・けいこ)/エッセイスト。1972年生まれ。東京大学大学院情報学環客員研究員。近著に『幸せな結婚』(新潮社)。『仕事と子育てが大変すぎてリアルに泣いているママたちへ!』(日経BP社)が発売中

※AERA 2021年10月25日号