2022年の私大入試が終わった。昨年はコロナ禍で多くの大学が志願者を減らしたが、今年は回復の兆しが見え始めた。「実志願者数」とその増加率から、人気を集めた大学を探った。

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 のべ志願者数は、たとえば1人の受験生が同じ大学の学部・学科を三つ併願した場合、3人と数える。近年、多くの大学で併願受験料の割引などが充実した結果、のべ志願者数が急増し、大学の人気が測れないという声があった。そこで本誌は2018年から、のべ志願者数の上位50大学を対象に実志願者数を独自に調べた。当初は非公表の大学もあったが、今年は全50大学が公表した。

 さて、今年のランキングを見てみよう。

 全体を通して目を引くのが、実志願者数の回復だ。昨年は新型コロナウイルスの感染拡大を背景に多くの大学が実志願者数を減らし、上位の有名私大でも前年比80%台が目立った。今年は、34の大学が前年比プラスとなった。ベネッセ教育情報センター長の谷本祐一郎さんは「志望校を決める昨年10〜11月の段階で国内のコロナの新規感染者が1日数百人台に落ち着き、受験生の間で都市部の大学や規模の大きな私学に挑戦する意欲が復活したことも影響していたのでは」と指摘する。

 首位には、前年2位の法政大が立った。2位は前年トップの明治大、3位は同4位の早稲田大が入った。法政大は増加率(前年比)も116%で、全体の2位につけている。同大入学センターでは「本学への期待の大きさとして大変うれしく思っている。充実した学部構成と多様な入試方式を用意しており、受験生が志願しやすかったのではないか」と話した。

 実志願者数のランクを見る際に留意すべきは、募集人数の多い大学ほど上位になりやすいことだ。そこで今年は「いま勢いのある大学」を見るうえで増加率にも着目した。

 首位は武蔵大。実志願者数ランクでは41位だったものの、前年比で123%と躍進した。22年に国際教養学部を開設したことが人気につながったとみられる。アドミッションセンター長の角田俊男さんは「国際教養学部では各学部に分かれていたグローバルプログラムが統合された。これまで多くの学部ではグローバルプログラムに入るための選考が入学後にあったが、同学部では希望の専攻を入学試験の段階で選べるため、受験生の安心感につながったのではないか」と分析する。

 実志願者数ランクで13位だった東京理科大も、増加率で9位と健闘した。一般選抜試験で志願者が増えたのが、共通テスト(国語、外国語)の結果と独自試験を併用するC方式。入試課の担当者は「共通テストの平均点が低調だった年は志願者が伸びていない。今年は英語や国語の平均点変動が小幅だったことが志願者増加の一因となったのでは」と言う。

 実志願者数では4位につけたが増加率で40位と、順位のギャップが大きかったのは日本大だ。

「昨年からの一連の不祥事(前理事長の逮捕・起訴)が実志願者数減の要因になっていると考えざるを得ない。教職員一丸となって学修・生活支援及び自己実現のための就職支援などを展開している。こうした姿勢を繰り返し発信していくことで信頼回復につなげたい」(入学課の担当者)

 龍谷大も実志願者数で16位に対し増加率は50位。広報担当者は「昨年は入試制度改革が功を奏したが、その効果が一段落したこと、また浪人生の減少が想定以上に大きく影響した」と話す。

 前出の谷本さんは、前年と数字を比べる際の注意点も指摘する。1年前に受験生が集まった大学は翌年度に敬遠される傾向があり、結果として合格ラインが下がる。そこで、その次の年は受験生が集まる。このため人気→不人気→人気という「隔年現象が起こりやすい」という。こうした傾向にも留意し、来年の順位に注目したい。(本誌・松岡瑛理)

※週刊朝日  2022年5月6・13日合併号