コロナ禍で定着した在宅勤務。転職先を選ぶ条件の一つにもなってきた。なかには最初からフルリモートの会社も。会わなくてもやっていけるのか。AERA2022年5月16日号の記事を紹介する。

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 人がまばらだったオフィスも、一時期に比べだいぶ人影が増えたように感じる。コロナ禍も終わりが近づきつつある中で、リモートワークから「出社」に戻る動きが加速しているからだ。コロナ禍の2年半を強制的なリモートワークの試行期間として捉えれば、この後の働き方をどうするか、それぞれが考え直す時なのかもしれない。

 転職サイト「ビズリーチ」では、今年3月度の検索キーワードランキング(※)の2位が「フルリモート」だった。前年12月度は4位、同9月度は11位という結果を考えると、フルリモートへのニーズの高まりが見える。ちなみに1位は「英語」だが、これは上位の常連ワードだ。

 またビズリーチの会員を対象に「今後もリモートワークを継続したいか」と聞いたところ、「継続したい」「どちらかといえば継続したい」との回答が95%超にのぼった。うち約40%が週2〜3日のリモートワークを希望し、週5日以上も30%近くいた。

■全国どこでも働ける

 リモートワークを希望するのは正社員だけではない。これまで出社が原則だった派遣社員にも、フルリモート化の動きが出てきた。

 人材事業を展開するキャスターは2018年に「在宅派遣」というサービスを始めた。

 派遣元であるキャスターと雇用契約を結んで、派遣先の企業で働くというスタイルは従来と変わらないが、一切出勤しない完全フルリモート。「初日だけ出社」「有事の際には出社」といった条件の求人も扱っていない。完全フルリモートでなければ、企業にとっては全国から質の高い人材を募れるというメリット、働き手にとっては通勤時間をかけず全国どこからでも働くことができるというメリットが提供できないからだ。

「必要なときに必要なだけ人材を確保できることが、企業が派遣スタッフを採用するメリットです。責任範囲が大きい正社員や、仕事の線引きが曖昧(あいまい)なケースと違って、業務の範囲が明確な派遣という雇用形態とフルリモートは相性がいいと言えます」(同社リモートワーカー支援事業部の坂井真吾さん)

 なかにはフルリモートの働き方を優先し、正社員から派遣にキャリアチェンジする人もいるという。坂井さんによれば、フルリモートで働く際の大前提として大事なのが「性善説でお互いを信頼すること」。さらに、「リモートワークでは自分から発信することが重要になります。今やっている作業、困っていることなどを頻繁に連絡するとお互いが疑心暗鬼になることを避けられます」。

 キャスターでは1千人以上のメンバーがフルリモートで働いている。かつては本社を東京に置いていたが、現在は宮崎県に移転した。14年の創業以来、事業は拡大し、業績も伸び続けているという。

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(編集部・高橋有紀)

※AERA 2022年5月16日号より抜粋