大河ドラマでも脚光を浴びている鎌倉。さすがは武士が開いた都で、華美ではないが、素材を存分に生かした料理を味わえる。100年を超える味を堪能する。

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■義経ゆかりの腰越に立つしらす丼発祥店

 源頼朝の怒りを買ってしまった義経は腰越の満福寺に滞在し、兄に宛てた手紙に心情をつづった。その腰越に明治後期開業。

 30年ほど前、地元住民が自宅で当たり前のように食べていたしらす飯をアレンジ。海苔、錦糸卵、大葉、大根おろし、ややソフトな食感の釜揚げしらすをたっぷりとのせた丼を出したところ、大ヒット。当地の名物になった。春のしらすは色が濃く大ぶりで、しっかりとした味がする。生醤油がよく合う。

かきや
住所:神奈川県鎌倉市腰越3‐7‐24/営業時間:10:00〜14:00 17:00〜20:00/定休日:木。水は昼のみ営業

■明治20年創業の老舗が出した新名物とは

 明治20年に割烹旅館として創業。2階にあった座敷では、政治家が芸者を呼んで会食をしていたという。昭和初期から蕎麦に力を入れ始め、蕎麦粉と宗田鰹を使ったつゆはずっと同じものを使っている。

 とはいえ新メニューの開発も怠らない。蕎麦つゆで作った牛すじ煮込みとカレー南蛮を組み合わせたところ、大人気だ。

川古江家
神奈川県鎌倉市小町1‐6‐19 アラビルB1/営業時間:11:00〜20:00/定休日:水

■北条氏が創立した建長寺公認のけんちん汁

 鎌倉幕府5代執権・北条時頼(「鎌倉殿の13人」の主役・北条義時のひ孫)が、建長5(1253)年に創立した建長寺。その寺で作られた精進料理が、けんちん汁である。

 点心庵は建長寺の門前に立ち、高橋博文総料理長は同寺の吉田正道老師から直接けんちん汁の作り方を教わった。食材のムダをなくすため野菜は皮ごと使用。出汁は動物を用いず干し椎茸と昆布から取るなど、唯一の公認店として寺の教えを守っている。胡麻油の香りが食欲をそそる。

点心庵
神奈川県鎌倉市山ノ内7/営業時間:11:00〜15:00L.O./定休日:月。祝日の場合は翌火

(取材・文/本誌・菊地武顕)

※週刊朝日  2022年5月27日号