投資信託をつみたてるならポイント還元があるクレジットカード決済で行うのがお得。各社のサービス競争がヒートアップしているが、その現状と「裏話」を調査した。

*  *  *

 投資信託(以下、投信)のつみたてをクレジットカード決済で行うと、ポイント還元が受けられるサービス競争が激化している。

 先駆けは楽天証券。これまで楽天カードで投信つみたてをすると、毎月5万円の投資金額を上限に楽天ポイントが1%分付与された。

 だが2022年9月以降、低コスト投信のポイント還元率が0.2%に(「楽天キャッシュ」決済なら8月買い付け分から0.5%の楽天ポイント付与)。

 後を追ったのがSBI証券。三井住友カードと組み、投信のクレジットカードつみたてを2021年6月に開始した。

 SBI証券では、たとえば年会費無料の三井住友カードナンバーレスで投信つみたてを決済すると0.5%のVポイントがもらえる。年会費5500円の三井住友カードゴールド(NL<ナンバーレス>)なら1%の還元。三井住友カード プラチナプリファードだと最大2%。

 2022年2月にはマネックス証券も参入した。マネックスカード(アプラス)を使ってつみたてれば1.1%のポイント還元。期間限定ではなく「ずっと続く」ということで投資家が殺到した。

 そして最後発がauカブコム証券、3月28日に開始。auPAYカードによるつみたてで1%、対象のau回線を契約していればさらに4%、5GのUQモバイルユーザーなら2%を上乗せなど。

 auカブコム証券はなかなかの大盤振る舞いだが、投資信託以外の回線契約などを条件に上乗せのため、シンプルに「投資信託の決済」だけで見ると現状、1.1%のマネックス証券がナンバーワンだ。

 クレジットカード決済にすれば、つみたてる低コスト投信の信託報酬を実質タダにできる。投資家にとってはお得なので使わない手はない。ただ、このクレカ戦争は顧客獲得のための「おまけ」だ。

 低コスト投信による証券会社の収益は信託報酬。たとえば「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」の信託報酬は年0.0968%だ。そのうち販売会社である証券会社の取り分は0.034%。あなたが1万円で買ったら、証券会社に入る収益は3.4円。クレジットカード決済で1%のポイント還元=100円を返したらどう見ても赤字である。いつ停止になっても文句は言えない。

 では、クレジットカードで投資信託を決済しながらつみたてていくなら、どれがよいか。

 つみたてブームに火をつけた横山光昭さんから、「ヨコヤマの教え」を聞こう。横山さんは2017年に『はじめての人のための3000円投資生活』(アスコム)を出版、シリーズ累計90万部を超えている。

「『この投信は、米国のS&P500と同じ動きだよ〜』『こっちの投信は世界中の株が丸ごと入ってるんだよ〜』と、わかりやすいインデックス型投信が初心者にもおすすめです。自分がよくわからないものは買わないこと」

 長期の「儲かり度」で見ると、アクティブ型投信はインデックス型投信に勝てないと言われる。運用コストである信託報酬もインデックス型投信のほうが安い。

「細かいことは調べたくない、投資のことはそんなに考えずに暮らしを楽しみたいならインデックス型投信を。つみたてを申し込んだら、あとは『気絶』していればそれでいいです」

 気絶(笑)。本当に気絶する必要はないが、インデックス型投信の選び方は意外に簡単だ。どれもインデックス=指数との連動を目指して運用しているので、結局は「どの指数を選ぶか」を決めればいいだけの話。

 指数とは、日本株225銘柄が対象の日経平均株価や米国株500銘柄が入っているS&P500などのこと。ニュースなどで見たことがあるのでは?

 さて、どの指数を選ぼうか。

「世界経済が成長し続ける限り、長期的には株価も少しずつ上がっていくはず。そう考えると3タイプです。今のところ最強の経済力を誇るのが米国の株式指数。

 国すら選びたくない人は、世界中の株が入った『全世界株式』の指数。全世界株式には中国なども入っていますが、アジアの株は嫌だな〜と思うなら『先進国株式』。こちらは米国や英国、カナダ、フランスなどの株をまとめ買いできます」

 もう一度整理しよう。まず、「今のところ最強」の国に投資したい、1つの国に集中投資でもかまわない人は、米国株式の投信。

 全世界株式の投信はとにかく永久に放置したい人向き。好調な国の株を多く組み入れ、失速した国の株は割合が自動的に減っていく仕組みなので、「米国の調子が悪くなってきたな、大丈夫かな……」などと心配する必要もない。

 そして米国株式と全世界株式の「いいとこ取り」のような存在が先進国株式の投信、というわけだ。

 ここ数年、一番調子がよかったのは米国株だった。アップルやマイクロソフトなどの巨大IT企業が株価を引っ張った。電気自動車のテスラやコロナワクチンでおなじみになったモデルナ、高速半導体チップの製造で急成長中のエヌビディアなど、成長力抜群の企業も多い。

 米国株式の投信は当然、米国株100%。全世界株式投信には約60%、先進国株式投信には約70%、米国株が入っている。

■「日本株入り」は不調

 もう少し細かく見ていこう。米国株式の投信で横山さんが挙げた5本には「S&P500」と「全米株式」がある=左の表。前者は米国の代表的な500社に投資。後者は米国市場に上場するほぼすべての約4000社に投資。

「精鋭銘柄がよければS&P500、いい会社も悪い会社も含めて丸ごと買いたいなら全米株式。好みで選んでかまいません」

 全世界株式の5本は、上から2番目の「eMAXIS Slim全世界株式(除く日本)」だけ日本株が入っていない。あとは運用手法や指数がそれぞれ少しずつ違うものの、方向性は同じだ。

「『除く日本』が全世界株式の5本の中でリターンが一番いいんですよね、皮肉なことに(笑)。今後はわかりませんから、こちらも好みで!」

 先進国株式も5本の中身はほぼ同じ。「SBI・先進国株式インデックス・ファンド」だけ、他の4本とは違う先進国株式指数なのだが、初心者はそこまで気にしなくていい。一番上の「<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド」は歴史も古いド定番だ。

「投資先が同じなら、あとはコストと規模です。信託報酬が安いものを選ぶ。そして純資産総額(規模)が大きいもの。投信って、大きいほうが運用しやすいんですよ。たくさんお金があったほうが、買ったり売ったりしやすいんですね。

 純資産総額が伸びている投信は、運用が好調で、かつ投資家のお金も集まっているってことです」

■信託報酬0.2%以下なら合格 

 最近は投信ブームが過熱し、SNSなどでは信託報酬にこだわりすぎている人も見かける。「こっちのファンドのほうが0.01%安い!」「信託報酬には表れていない隠れコストがあるからダメだ!」と特定の投信を否定する。

「丁寧に調べるのはいいのですが『信託報酬バカ』にならないように……。もちろん信託報酬が0.5%の投信と0.1%の投信を比較すれば成績に差がつきます。しかし信託報酬0.2%以下の投信なら合格だと思いますよ。大事なのはリターンですよね?」

 A投信とB投信で、A投信のほうが信託報酬は0.05%高い。でもリターンもA投信のほうがB投信より上、といった例は珍しくない。運用成績は信託報酬ですべてが決まるわけではないのだ。

「つみたてがスタートしたら、もう余計なことはしないでくださいね。『下がってきたから買うのをしばらく休もうかな』『この投信は成績がすごく上がっているみたいだから乗り換えようかな』とか、そういうのいらないです。

 下がっているときこそ安く買えるチャンスですから放置。ちょっと成績が上がってきた投信を渡り歩くのもおすすめしません。つまり投信のつみたて中って実は暇なんです。仕事しましょう、遊びましょう」

◎横山光昭(よこやま・みつあき)/マイエフピー 代表。少額の投資信託つみたてを世に普及させたカリスマ。近著に『月100円からはじめる!つみたてNISAとiDeCo超入門』(宝島社)

(編集・文/綾小路麗香、伊藤 忍)

※『AERA Money 2022夏号』から抜粋