電気代にガソリン代、お菓子もカップ麺もコーヒーも値上げラッシュ。いまのペースで物価上昇が続くと、家計を大幅に圧迫してしまう。AERA 2022年6月13日号の記事から紹介する。

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 物価上昇が止まらない。総務省が発表した4月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比2.5%上昇。天候の影響が大きい生鮮食品を除いた値(コアCPI)でも2.1%上昇し、8カ月連続でプラスだった。特にコアCPIが2%以上アップするのは、消費増税の影響を除けば約13年半ぶりのことだ。

 横浜市で家族4人で暮らす会社員の男性(42)は、こう言ってため息をつく。

「今年に入って、あらゆるものの値段が上がっているように感じます。食品はパンも油も麺類も、外食代まで上がっているし、電気代は見たことがないような額になっていました。リフォームを考えていたけれど住宅関連品も値上がり、さらに品薄と聞いて手が出ません。ニュースでは『7月から〇〇が値上げする』という話題が多く、いつまで続くんだろうと不安です」

 特に値上がり幅が大きいのが、エネルギーと食料だ。原油価格の国際的な指標であるブレント原油の先物価格は、コロナ禍の需要急減で2020年4月21日に1バレル19.33ドルの安値を付けたが、その後じりじりと値を上げ、今年3月8日には127.98ドルに上昇。現在も100ドルを上回る高値で推移している。コロナ禍から主要国経済が持ち直して需要が急増したことに加え、対ロシア制裁によるロシア産原油の供給不安が影響しているとされる。

 またウクライナ戦争は食糧価格にも大きく影響している。ウクライナは世界の小麦輸出の約9%、トウモロコシの12%、ヒマワリ油の53%を占める農業大国だ。すでに出荷に影響が出ているほか、今年の生産量も大きな落ち込みが予想される。

 これらは足元の生活にも如実に表れている。再び4月のCPIを見ると、電気代が前年同月比21.0%、都市ガスが23.7%上がった。加工食品や飲料の値上げも相次ぎ、天候不順などでタマネギやジャガイモの値段も急上昇。帝国データバンクが食品主要105社を対象に実施した調査では、今年1月以降、6月末までに6285品目が値上げされ、7月以降も4504品目の値上げが予定されている。

 冒頭の男性は、日常生活で大きな問題が出るほどではないとしつつ、買い物では「妻の目が厳しくなった」という。

「菓子パンやスナックをカゴに入れても、そっと棚に戻される。買い物にかかる総額が増えないように、必須ではないものが買いにくくなりました」

 消費経済ジャーナリストの松崎のり子さんは、売り上げが期待できるものから値上げされる傾向にあると指摘する。

「消費者が手を出しやすいものほど値上がりしています。10円の値上げでも生活防衛的に安く買っていたものだとダメージ感は大きい。夏以降には菓子類、ビールや酎ハイなどの値上げも予定され、影響は嗜好(しこう)品にも及びつつあります。テレワークで在宅時間が延びている中でのエネルギー高騰も打撃でしょう」

 値上げはこれだけにとどまらない。4月のCPIによると、住居の設備修繕・維持費が2.5%、家具や家電などの家庭用耐久財が5.0%、自動車等関係費が3.5%アップ。支出を主要な項目ごとにまとめた「10大費目」で下がったのは「交通・通信」(マイナス0.2%)と「保健医療」(同0.7%)だけだ。(編集部・川口穣)

※AERA 2022年6月13日号より抜粋