コロナ休校以降、右上がりに増え続けている不登校や行き渋り。子どもが「学校に行きたくない」と言ったら親はどうしたらいいのでしょう。SOSサインの見つけ方は? 「不登校新聞」編集長の石井志昴さん、臨床心理士の南谷則子さんに伺いました。現在発売中の『AERA with Kids 2022年夏号』から一部抜粋してご紹介します。

*   *  * 

■不登校は誰にでも起こるストレス対処行動の一つ

 親の悩みで、年々増えている子どもの不登校問題。文部科学省の調査によると、年間30日以上登校せず、「不登校」と見なされた小学生は直近5年間で倍増し、低年齢化も懸念されています。

 不登校専門紙「不登校新聞」編集長の石井志昂さんは、「不登校は氷山の一角。年間30日未満の欠席、あるいは遅刻早退を繰り返す、保健室登校や行きたくないのに無理して行っている“隠れ不登校(不登校傾向)”の子どもは大勢います」と指摘。「急増の背景には、コロナ禍によるストレスや不安がある」とも話します。

 休み時間でも密になって話していると注意され、給食も黙って食べる“黙食”。常にマスクをしなければならない生活では表情がわかりづらく、空気の読み合いで疲弊する子どもも多いそう。

「最近の不登校の特徴としては、『子ども自身は学校に行けない理由がわからない』ということ。不登校とは無縁だったような子が、ある日突然、学校に行けなくなるといったケースも増えていると感じています」(石井さん)

「不登校は誰にでも起こり得る」と話すのは、臨床心理士の南谷則子さんです。

「不登校になるきっかけは多岐にわたります。だからこそ、特別な子に起こる問題ではありません。多様な要因が複雑に絡み合い、結果として不登校という状態になっている。『学校に行かない』ということは、ストレスに対処しようとする行動の一つに過ぎないのです」(南谷さん)

 しかし、理由もなく学校を休みたがる子どもに親は困惑するもの。

「学校に行きたくない」という言葉が深刻なものなのか、一過性のものなのか。その見極めは?

「親としての直感を信じてみてください。子どもを見て、『いつもと違う』と感じたら、その直感どおり何かが起きているはずです。休む・休まないの判断が難しいときは、休ませてみるのがいいと思います。『ときには休んで、手を抜いても大丈夫!』と、休み方や力の抜き方を教えてあげることで、社会に出ても自分らしく生きていけるのではないかと思います」(石井さん)

 子どもに見られる代表的SOSを知っておくことも大事です。

■親にグチグチ言えるのは信頼関係があるからこそ

「学校に行くことが当たり前」と思っていると、子どものSOSに気づきにくいかもしれません。

「つらそうだなと感じたら、心配しているということを伝え、『何か不安なことはある?』と率直に聞いてみてほしい」と石井さん。「学校がだるい」とグチグチ言ってきたら、「だるいよね」と共感する言葉が大切だと言います。「共感のふり」をするだけでもいいそう。

 アドバイスしたり、「気にしても仕方がない」と言いたくなったりしますが、それでは不安は取り除かれません。子どもの言葉をオウム返しにすることが受容のコツです。

 それでも5つのSOSサイン(図参照)が続くようであれば、大きな不安やストレスを抱えている可能性があります。早めに気づき、普段から「話を聞く」姿勢が親子の信頼関係と心のケアにつながります。

(取材・文/高橋亜矢子)

〇石井志昂(いしい・しこう)さん/「不登校新聞」編集長。中学受験を機に不登校。不登校新聞の編者として、当事者や親、識者など400人以上に取材。著書『「学校に行きたくない」と子どもが言ったとき親ができること』(ポプラ社)。

〇南谷則子(みなみたに・のりこ)さん/臨床心理士、小児発達学者。公立学校でスクールカウンセラーをしながら、不登校の子どもを持つ親の支援グループプログラムに取り組む。千葉大学子どものこころの発達教育研究センター特任研究員。

※『AERA with Kids 2022年夏号』から抜粋