本当は丁寧にじっくりと、自分の心身の健康や資産管理、スキルアップや子育てに向き合いたい。ただ、毎日2、3時間を費やすのは、忙しい現代人には難しい。それならば「15分」。1日15分の捻出で、人生が劇的に変わるのだ。AERA 2022年7月18−25日合併号から、15分でできる「筋トレ」を紹介する。

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「僕は1日15分しか筋トレしません。それを週5回。1週間で1時間ちょっとくらいですね」

 NHK「みんなで筋肉体操」に出演する筋生理学者の谷本道哉・順天堂大学先任准教授(49)は明かす。初心者でもできる1日15分のメニューを考えてもらった。

「かっこいい体にしたい、健康になりたいという目的でかまいません。質を高めれば1日おきに1回15分で十分です。筋トレだけで15分は長すぎるくらい。15分あるならストレッチ、持久運動も入れましょう」

 (1)超ラジオ体操から始めよう。体を前後に曲げる「前後屈」、両手を組んで伸びをした後に左右にぐっと曲げる「側屈」、組んだ手を外に向かってぐるっと回す「回旋」だ。

「普通のラジオ体操は速くて、背骨周りを大きく動かしにくい。1.5倍の時間をかけて丁寧に動かして、まず体を軽やかに。続いては短時間のしっかり筋トレ。ノルアドレナリンが出てやる気も出ます」

 (2)スクワットをしよう。

「太もも、お尻の筋肉を鍛えましょう。つま先を少し外側に開くと、深く腰を落としやすくなります。『浅いスクワットは、浅はかなスクワット』ですよ」

 そして立ち上がる。余裕がある人は立ち上がりきらずに動作を繰り返そう。

「スクワットは強いので少し多めに15〜20回を目安に、限界まで行いましょう。できなくなったら5秒休んで、あと5回ほど追い込みます」

 (3)机を使った腕立て伏せをしよう。

「机に両手をついて、胸がつくまで下ろすのがポイントです。『胸がつかなければ、腕立て伏せかけ』ですよ」

 負荷を下げたい人は片足を少し前に出すと楽に。負荷を上げたい人は、足を少し後ろに引く。

「スクワット以外の種目は限界まで10〜15回行った後、5秒休んで、さらに3回ほど追加で出しきる。できなくなるまできちんと行えば、自重でも十分です」

 (4)押した後は、引く筋トレのローイングだ。オペラ歌手のように手を組み、全力で引っ張り合いながら右に左に大きく引ききる。背中、肩、腕の筋肉が刺激を受ける。

筋トレ中は息止めない

 (5)椅子に座って「背筋」を鍛えよう。足を開く。背中を丸めて体を前に倒し、背中を反らせて体を起こす。

「肘(ひじ)を前に出すと背中を丸めやすい。その姿勢でおへそをのぞきます。体を起こすときは顔を上げて肘を引くと、しっかり背中を反れる。地味に見えますが、背中の脊柱(せきちゅう)起立筋にかなりききますよ」

 負荷を弱くしたい場合は、膝(ひざ)を押しながら体を起こす。

 (6)「足上げ腹筋」は椅子に浅めに腰かけ椅子の後ろを持ち、両足をできるだけ高く上げて下げる。膝を伸ばすほど負荷が上がり、曲げるほど負荷が下がる。

「腹筋はつりやすいので、終わったらうつ伏せで10秒背中を反らせましょう。オットセイのポーズです。筋トレ中は息を止めないように注意してください」

 (7)最後はその場でジョギング。負荷の強い持久運動を休憩を挟んで行い、持久的体力を高める。

「かなり軽く20秒、軽く20秒、強めで20秒行ったら20秒休んでさあ本番!『頑張って強くを20秒+休憩10秒』を4本! 本番セットでは腿(もも)を高く上げましょう。(6)まではあまり汗をかきませんが、最後のジョグではうんと息を上げていきます。これで終了です」

 1日おきに15分ということは、週3日とすると週45分。どんな効果があるのか。東北大学大学院医学系研究科講師の門間(もんま)陽樹さんは言う。
「過去の研究結果を統合すると、筋トレを週30〜60分する層は、総死亡、心血管疾患、がんの死亡や発症のリスクが最も低かった。健康を考えると、筋トレを生活習慣に取り入れてみてはいかがでしょうか。持久的な運動を合わせると、さらにリスクは 下がります」

(編集部・井上有紀子)

※AERA 2022年7月18−25日合併号