ダイエットを効果的に進める上で、重要なポイントの一つになる食生活の改善。なかでも脂質の摂取量をコントロールすることは、ダイエットの成否に深くかかわってきます。「最近、なかなか思うようにやせられなくて……」と“壁”を感じている人は、脂質の取りすぎが原因になっているのかもしれません。そこで今回は、早稲田大学大学院で運動生理学を学び、「ダイエットコーチ計太」としてYouTubeでも活躍するパーソナルトレーナー・計太さんが、ダイエットの基礎となる「脂質の摂取量」について詳しく解説します。

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 YouTubeやSNSを眺めていると、「○○制限」「□□を食べるだけ」といった食に関するダイエット情報が目に飛び込んできます。どれも、より短期的に、より少ない労力で、効果を得られそうな気がしますが、こうした“応用型”のダイエット法は、バランスの良い食生活を実践した上で、挑戦するかどうかを検討するべきものです。基礎が確立されていない状態で、いきなり過度な糖質制限や断食をしたところで効果は期待できず、継続することさえ難しいはずです。野球のピッチャーが投球フォームを固めてから変化球の練習を始めるように、ダイエットでも基礎を確立することが重要です。というわけで、脂質の摂取量を考える前に、まずはバランスの良い食生活について整理しておきましょう。

■ダイエットに重要なのは、PFCバランス

 「バランスの良い食生活とは?」と尋ねられて、具体的に答えられる人はあまりいないと思います。そんな時に、基準の一つとして参考にしたいのがPFCバランスです。PFCバランスとは、1日の総摂取カロリーに占める3大栄養素(たんぱく質[Protein]、脂質[Fat]、炭水化物[Carbohydrate])の比率を表したもの。このPFCバランスを考慮することが「バランスの良い食生活」を整えることにつながり、ダイエットの基礎作りにもなります。

 厚生労働省の資料によれば、それぞれの推奨数値はたんぱく質(P)が13〜20%、脂質(F)が20〜30%、炭水化物(C)が50〜65%となっています。よりダイエット効果を高めるためには、ビタミンやミネラル、食物繊維なども含めて計算することが理想ですが、あまり細かく管理しすぎると数字にとらわれ本質が見えなくなってしまうため、まずはPFCバランスを確認することから始めましょう。推奨数値はあくまで目安なので、体調と相談しながら数値の“幅”の中で微調整しても問題ありません。

■実際のところ、脂質はどれくらい取っていいの?

 1日の総摂取カロリーのうち、脂質の摂取量を20〜30%に抑えることが理想だと分かりましたが、実際のところ1日あたり何gを摂取できるのでしょうか。より具体的な数字を挙げて考えてみましょう。計算がしやすいように、一日の総摂取カロリーを1500kcal、脂質摂取の推奨量を25%に設定します。

 1500kcalの25%は375kcal。脂質は1gあたり9kcalと定められているので、脂質は1gあたり9kcalに相当するので理想とされる一日の脂質摂取量は41〜42gになります。つまり、1日の総摂取カロリーの目安が1500kcalの人であれば、脂質の摂取量を40〜50gに抑えることで、理想的なPFCバランスを維持できるわけです。もちろん、運動量が多い人は「総摂取カロリーの25%」「1gあたり9kcal」を基準に“許容値”を割り出して、脂質の摂取量を増やしても大丈夫です。

■許容範囲を超えないよう、慎重な食材選びを

 では、脂質を40〜50gに抑えるためには、どんな食生活を心がければいいのでしょうか。いくつかの食品を例に挙げて考えてみましょう。

 例えば牛丼(並盛)には約25gの脂質が含まれ、1食だけで1日の摂取量の約半分を占めます。お菓子類も脂質が多く、板チョコ1枚(50g)で約17g、ポテトチップス(1袋)に至っては約30gの摂取量になります。そのほかにも、ベーコン(3枚)で約20g、ソーセージ(5本)で約25gなど、脂質を多く含む食材はたくさんあります。また、サラダのドレッシングや調理油など、食材以外から摂取する脂質まで含めれば40〜50gはあっという間にオーバーしてしまいます。脂質の少ない魚介や豆類を積極的に取り入れるなど、食材選びにも気をつけたいものです。

 もちろん、脂質の摂取量は減らせば減らすほどいいわけでありません。厚生労働省が総摂取カロリーの20〜30%前後を脂質で摂取するよう推奨しているように、重要なのは適量を守ることです。そのためにも、摂取許容量だけではなく、食品に含まれる脂質の“目安”を把握しておく必要があるのです。なにより、食品に含まれる脂質の量を知っておけば、食事のバランスを整えやすくなります。脂質の含有量はウェブサイトやスマートフォンのアプリで簡単に調べることができるので、活用するといいかもしれません。

■脂質摂取量の見直しがダイエットの重要なステップ

 脂質摂取量のコントロールはダイエットの基礎の「基」です。とはいえ、知識や情報が増えるにつれて、意外と見落としがちなポイントでもあるので、折に触れて脂質の摂取量をチェックする習慣をつけましょう。何事も基礎が大事で、脂質の摂取量に注意するだけでダイエットが進む人もいます。また、糖質制限ダイエットに挑戦して、脂質を積極的に摂取していた人は、特に脂質の摂取量を再確認して今後のダイエット生活の参考にしてください。

(構成:加藤 徹)