巷にあふれる肌ケア情報の中には、誤ったものや根拠の薄いものも少なくない。よかれと思って続けていた習慣がむしろ逆効果になっていることも。自分の体に耳を傾けて、生活習慣を見直そう。AERA 2022年9月12日号から「肌」特集の記事を紹介する。

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 肌トラブルが起きたときは、自己判断せずに専門家に頼るのがベストだ。だが、できれば自分でなんとかしたいと思ったり、「このくらいで病院に行くのも」と気後れしてしまう人もいるだろう。その境目をどう考えればいいのか。『最新医学で一番正しい アトピーの治し方』などの著書がある、近畿大学医学部教授の大塚篤司医師はこうアドバイスする。

「スキンケアや化粧品は、自分で色々試してみるのが一番だと思います。でも、日常生活に支障が起きていたり、できものなどが1カ月ほど治らない場合は一度皮膚科で相談していただくのがいいですね」

洗顔の意外な落とし穴

 洗顔料に化粧水、乳液、アクネケアに毛穴ケア。市場には様々なスキンケア商品が並び、つい目移りしてしまう。

 その効果を最大限に発揮するために不可欠なのが、「正しい使い方」だ。

「顔を洗えばいい、化粧水をつければいいと思っていました」

 長年肌トラブルに悩まされていたという東京都内に住む30代の会社員女性は、自身のスキンケア遍歴をそう振り返る。

 社会人になって最初の週末。ともに上京した友人と、百貨店の化粧品売り場を訪れた。「肌診断」を受けると、やや乾燥気味との結果に。手始めに泡立ちが売りの固形石けんを買い、デパコスデビューを果たした。

「でも、私には向いていなかったんです」

 女性はそう言って、苦笑する。いったい何が不向きだったのか。

「それまでポンプ式の泡洗顔を使っていたので、石けんを泡立てるということにピンときませんでした。店頭ではめちゃくちゃ泡立っていたのに、私がやると全然ダメでしたよ」

 結局、泡洗顔に立ち返った。

「間違ったスキンケアをしている人は意外に多いんです」

 そう指摘するのは、『肌トラブル大全』の著書もある皮膚科医の小林智子医師だ。肌荒れに悩む人のなかには、そもそも洗顔の仕方が間違っているというケースも多いという。

「肌質に関係なく、洗顔は優しく素早くが基本です。時間をかけたほうがいいと思うかもしれませんが、肌に必要な保湿成分も一緒に洗い流されてしまう。敏感肌を自分で作ってしまっている人もいます」

 じっくり洗わなければ皮脂が残ってしまうのではと不安になるが、吸着力の高いもこもこ泡を立てれば大丈夫。摩擦が起こらないように、泡をくるくると肌になじませるのがポイント。洗顔後に顔を拭くときもこするのはNG。吸水性の高いタオルを使うのがおすすめだ。

“いちご鼻”が悪化して

 スキンケア用品を使いこなせていないのは、この女性だけではない。訪問販売が中心の老舗メーカー「ナリス化粧品」の調査によると、スキンケアをしている女性の66%が自分のスキンケアに自信がないと回答。また、正しい使い方をしっかり理解していると答えた女性は約2割しかいなかった。

 横浜市の会社員女性(27)も自信を持てない一人だ。

 高校生の頃、“いちご鼻”をケアするパックが流行(はや)っていた。物は試しと使ってみたら、毛穴がさらに目立つように。気になるから、またパックをする……。そんなことを繰り返した。

 毛穴パックは「した後」が大事だと女性が知ったのは、数年前。今はだいぶ目立たなくなったが、それでも化粧をするたびにどんよりした気持ちになるという。小林医師もこう警告する。

「洗顔で毛穴の汚れをただ取り除くだけでは、またすぐに詰まってしまいます。洗顔後に有効成分を入れ込むことが必要ですが、洗顔を頑張ることでかえって摩擦を作り、毛穴を目立たせてしまう人も多いです」

 肌によかれと思ってやったことが、あだになる。そんな悲しいことはできれば避けたい。

 そこで、アエラでは17の肌習慣セルフチェックをまとめた。朝・昼・夜のシーン別に、洗顔やスキンケアの注意点なども記載しているので、参考にしてほしい。

 人並みにケアしてきたと自負する記者(28)もセルフチェックをしてみた。正しくできていたのは、七つだけ。頑張って塗り続けた日焼け止めの量が足りていなかったこと、風呂上がりに一分一秒を争いながら保湿する必要がないことを知ってショックだった。

 スキンケアは、シンプルが鉄則だと小林医師は言う。

「夏から秋にかけて肌が揺らぎやすくなると、美容液などつい色々なものを塗ってしまいがちです。でも、ダメージを受けているときほどシンプルな保湿がカギになる。秋以降も紫外線対策をしながら、しっかりケアしていきましょう」

(編集部・福井しほ)

※AERA 2022年9月12日号より抜粋