AERAの連載「はたらく夫婦カンケイ」では、ある共働き夫婦の出会いから結婚までの道のり、結婚後の家計や家事分担など、それぞれの視点から見た夫婦の関係を紹介します。AERA 2022年10月3日号では、ダイドコ帖・店主の北村美雪さん、北村建築研究工房・主宰の北村茂章さん夫婦について取り上げました。

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夫29歳、妻26歳で結婚。お店・事務所・自宅を兼ねた家で2人暮らし。

【出会いは?】夫が勤めていた建築設計事務所に、妻が転職してきた。

【結婚までの道のりは?】興味が似ていて、休日も建築仲間と共に行動することが多かった。夫は妻との暮らしのイメージがわき、妻は家でご飯を作って一緒に食べたいと思い、約6年後に結婚。

【家事や家計の分担は?】料理と洗濯、買い物は妻。掃除は場所によって分担。庭の手入れや、ストーブの煙突掃除、家の修理は夫。財布は別。

妻 北村美雪[54]ダイドコ帖 店主

きたむら・みゆき◆1968年、島根県生まれ。米子工業高等専門学校卒業後、アトリエ系建築設計事務所3社で設計に携わる。夫と13年設計の仕事をし、2008年から喫茶店を経営。自家製ベーグルや季節の手作りメニューを出している

 この家は元々、北村さんの実家で、古いし壊すって言われていたのを自分たちで改装し、内壁を取って天井を抜いて、明るく風通しのいい空間につくり替えました。建築でまず考えるのは、どうすれば気持ちのいい暮らしができるか。それはお店も同じで、自宅をさらに改装してカフェを開いています。今ではお客さんから「ダイドコ帖みたいな空間にしてほしい」と、設計の依頼もあります。

 以前は二人で設計をしていましたが、食を通じて何かできたらという思いがあって、40歳で「ダイドコ帖」を始めてからはお店に専念。北村さんは協力的です。相手に最善と思うことをやって、結果、自分が大変になったとしても損得は考えずに力を尽くす。

 私だけでなく、仕事でも誰に対してもそうですね。

 最近はリノベーションの依頼が多く、考え方で自由に変えていける広がりを、北村さんの仕事から感じます。建築設計は北村さんの天職。壊されていく、いい建物を守り継いでいってほしいです。

夫 北村茂章[57]北村建築研究工房 主宰

きたむら・しげあき◆1965年、大阪府生まれ。近畿大学理工学部卒業後、建築設計事務所を経てフリーに。95年、建築設計・デザイン事務所を設立し、住宅や店舗の設計、デザインを行う。まちづくりや歴史を伝えるNPO理事も務める

 美雪さんは20歳の頃から食べたものを記録しているんです。朝昼晩おやつもすべて。

 私はその絵をお店のブログにあげていましたが、資料が膨大で追いつかない。食に興味があるのはよくわかったし、やりたいことをやった方がいい。だから設計の仕事は私一人でやっています。

 八尾(大阪府)は私の地元ですが、まちへの興味が広がったのは二人で暮らし始めてから。仕事の傍ら、NPO活動で小学校へ出前授業にも行きます。家も、まちも、原風景になっていく。だから愛着を持って暮らせるよう、次の世代に伝えていく。それが実現できているのは、ここに私たちの生活の基盤があるから。

 自宅の改装は、土壁をくり抜いて日干しレンガにしたり、床板を張ったりを住みながらやりました。結婚式の翌朝も、首に手ぬぐい巻いて現場作業。あれから30年近く経ちますが、暮らしに合わせてほぼ10年ごとに改装しています。そうして美雪さんとの暮らしは、すべて私の設計の中に反映されています。

(構成・桝郷春美)

※AERA 2022年10月3日号