9歳、10歳ころになると子どもは親から距離をとり始めます。「娘がパパを嫌がるように……」「最近うそをつくようになった」など、プレ思春期に悩む保護者の声に、早稲田大学教育学部教授・本田恵子先生、産婦人科医・高橋幸子先生、個別指導塾TESTEA(テスティー)塾長・繁田和貴先生の3人からアドバイスをもらいました。現在発売中の「AERA with Kids 2022年秋号」(朝日新聞出版)から一部抜粋して紹介します。

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(悩み1)娘がパパを嫌がる

 小5女子。今年に入ってすっかり「パパ嫌い」になってしまいました。「パパ、くさい」「おじさん」と夫が気の毒になるようなことばをかけるので、つい「そんなこと言わないの!」と怒ってしまいます。食事も、夫がいると無愛想です。夫は「成長の証拠だよ」と寛容ですが、休日に家族で出かけようとしても「パパと歩くのがはずかしい」なんて、ひどすぎる!

(アドバイス)プレ思春期の女子の正常な反応です

「これくらいの年齢の女の子は、『パパがいや』というより、本能的に『中年の男性がいや』というケースも多いものです。自我も育ってくるので、あれこれ父親に聞かれたりするのも『うざい』『きもい』。なんとなく父親に支配されているように感じられるし、支配されている自分も嫌なのです。異性の親といっしょに歩いているところを友達に見られて、なんだか気恥ずかしいのは男の子も女の子もいっしょです。親離れの準備と考えて、おおらかに見守ってあげましょう」(本田先生)。

(悩み2)友達や服の好み、遊びが変わってきた

 小4女子。最近、人気アイドルに感化されて髪形や服にこだわるようになりました。朝は身支度に時間をかけ、服は肌を露出するようなデザインを好みます。服を買う際、あまりに過激なものはあきらめさせています。友達も雰囲気が変わり、派手な子たちのグループのメンバーに。本人はノリノリですが、なんだか心配……。

(アドバイス)親の価値観で子どもの友達を見るのはNG

「子どもが選んだ友達に『あの子はなんだか素行に問題がありそうだから、つき合うのをやめなさい』なんていうのはよくありません。むしろ『いろんなタイプの友達と仲よくできて、いいね』と認めてあげるといいですね。心配事は『ママは(パパは)遊びに夢中になって、勉強がおろそかになってしまったことを反省しているんだ』など、自分の経験として伝えるとスムーズですよ」(繁田先生)。

「憧れをもって自分磨き。それは素敵なことですが、過度なダイエットなどで、健康を損なわないように見守ってあげましょう」(高橋先生)。

(悩み3)最近、うそをつくようになった

 小4男子。ちまちまとうそをつくようになりました。学校や塾の宿題をやったと言って実は手をつけていなかったり、習い事をサボって友達と遊んでいたり……。あとから知って、腹が立つやら悲しいやらで、叱りつけてしまいます。

(アドバイス)うそがつけるのも、「育っている」証拠です

「うそは、見方によっては、『こう言えば切り抜けられる!』と子どもに知恵がついてきたということ。犯罪や人を傷つけるようなものは論外ですが、様子を見て、たまには見逃してあげるのもアリかと思います」(高橋先生)。

「毎回問い詰めていたのでは改善につながりません。うそがばれたら怒らず叱らず、まず話を聞いてみましょう。うそには理由があるからです。その理由を知り、理解してあげたいですね。また、プレ思春期は、『認めてほしい』気持ちも強い時期。かまってほしい、見てほしい心理から親の気を引くうそをつくこともあるので、親が『あなたをちゃんと見ているよ』という姿勢でいることも大切です」(繁田先生)。

※「AERA with Kids 2022年秋号」(朝日新聞出版)では、このほか「会話がない」「反抗期の気配がない」など計6つの疑問に答えてもらっています。

(取材・文/編集部)

〇高橋幸子(たかはし・さちこ)/産婦人科医。埼玉医科大学医療人育成支援センター・地域医学推進センター助教。著書、監修多数、著書に『サッコ先生と! からだこころ研究所 小学生と考える「性ってなに?」』(リトルモア)など。

〇本田恵子(ほんだ・けいこ)/早稲田大学教育学部教授。心理士・特別支援教育士SV。アンガーマネージメント研究会代表も務め、編・共著に『キレにくい子どもを育てる。親子のアンガーマネージメント(こころライブラリー)』(講談社)など。

〇繁田和貴(はんだ・かずたか)/個別指導塾TESTEA(テスティー)塾長。難関校への高い合格率を誇る指導力と人間的な魅力から、生徒はもちろん、保護者からも「開成番長」として絶大な人気。『中学受験を9 割成功に導く「母親力」』(主婦と生活社)など著書多数。