「生活保護」の状態から、奨学金や借金でハーバード大学に進学したパトリック・ハーラン(パックン)。現在では東京都心に邸宅を構え、お金に悩まされずに、家族と楽しく過ごしています。この大逆転の理由を、パックンは「お金を育てる方法」を知っていたから、と語ります。最新刊『パックン式 お金の育て方』では、誰にでもマネできるお金との付き合い方を紹介しています。ハーバード卒のパックンが、日本で子どもに伝えている「お金の英才教育」をこっそり紹介。金融教育が当たり前になるこれからの日本で、お子さんに早いうちから教えておきたいパックン式の「お金のメソッド」を本書から一部を抜粋・再編して大公開します。

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■子どものころから知っておくべき「お金の感覚」

 僕は今、2人の子どもを育てています。

 親として、彼らに向けて「お金の教育をしたい」と思っていますが、実際にやってみると「難しい!」と感じることが少なくありません。

 そもそも、僕は子どもたちにお金の心配はさせたくない、と思っています。

 子どもの頃の僕みたいに、経済的な不安からやりたいことを諦めてほしくはない。

 自分が望む未来に気兼ねなくチャレンジできるように育ってほしいのです。

 ただ、その一方で、お金は無限にあるものではなく、努力も我慢も計画も必要であることは理解してもらいたい。

 僕たちは家族でよく海外旅行に行きますし、子どもたちはいろいろな習い事もやっています。でも、「それが当たり前」だとか、「何でも苦労なく手に入る」などとは思ってほしくありません。

 そこで僕がやっているのは、「なんでもすぐに手に入る」という状況をなるべく作らないこと

 子どもたちが欲しいものを買おうとしたとき、必ず話し合いをしています。

 まず話すのは、「買わずに済む方法」について。

「本が欲しいというけれど、図書館で借りればいいよね」「その漫画が流行っているなら、友達と貸し借りできない?」「その洋服、似たのを持ってなかったっけ?」といった感じです。

 こうやって、まずはお金を払わなくても欲しいものを手に入れる方法がないか、を考えてもらいます。

 それでも「どうしても買いたい」というなら、「1週間家の手伝いをしたら買う」などの条件をつけます。

 さすがに僕のように10歳から新聞配達をさせることはないにしても、「自分で稼ぐ」という疑似体験はしてもらいたい。

 買い物に一緒に行くのも、いい教育の機会です。

 たとえば「今日は3000円以内に収めよう。1円単位は四捨五入して、パッと計算してみよう!」みたいに、ゲーム感覚でお店を巡ります。

 これは金銭感覚を鍛えることにも、算数の勉強にもなるから、一石二鳥。

 レジで会計をするときは、クレジットカードの分割払いや手数料の仕組みなどを話すチャンス。「とにかくリボ払いはダメ!」とかね。

 こんなふうに日常の中で金銭感覚を育てることは、結構大事なことだと思います。

 親が子どもにお金の話をしないと、とんでもない勘違いをしますから。

 息子が小学校低学年のとき、友達から「お前の家、すごく高いんでしょ?」とからかわれたらしく、「パパはいくらで買ったの?」と僕に尋ねたことがありました。

 あのとき、逆に僕から「いくらだと思う?」と聞いたところ、「うーん」と考えた末に「1万円くらい?」と言ってきました。

 その答えを聞き、笑いながら、「ゆっくりでもいいから、息子にもお金のことがわかるようになってもらおう」と決めました。

 自分でお家を買う番がきたとき、息子が1万円しか用意していなかったら困るからね……。

■子どものうちだからやっておきたい、今なら簡単にできる投資法

 子どもたちには投資のことも少しずつ教育しています。しかも、口で伝えるだけでは限界があるので、実践形式を取っています。

 僕は子どもたちに毎年クリスマスプレゼントとして、80 万円ずつ与えています。

「ええっ!」と思った方もいるかもしれませんが、そのお金で何かを買わせるわけではなく、「未来の自分たちのために一緒に投資信託を買う」というスタイルです。

 2023年に廃止されてしまう制度ですが、「ジュニアNISA」という非課税制度を使うと年間80万円までならば、投資で得る利益が非課税になります。ジュニアNISAを通じて投資できる商品は、安全性が高いものが厳選されていることもあり、子どもに投資を経験してもらうにはいい方法だと思います。

 ちなみに、80万円の投資資金をどこに投じるかは、基本的には子どもたちにまかせています。「先進国株がいいかな?」「新興国もこれから急成長するかも」なんて親子で話しながら、投資先を選んでいます。僕はあくまでアドバイスにとどめて、最後は子どもたちの判断にまかせています。   

 こうやって親子で投資の話をしていると、自分のお金が社会とつながっている「社会の参加者」の実感を得ることに役立ちます。

 子どもたちが投資している商品の中には、家族旅行で行った海外の企業も含まれています。だから、子どもたちは海外の友達のことなどを思い浮かべて、投資を通じてその国とつながっている気分になれるようです。まだ行ったことのない国にも投資で興味を持つこともあり、本当にいい教育になっていると思います。

 もちろんジュニアNISAを使わなくても、お金の話は家族の中でできるはずです。

「お金の教育」と思うだけではなく、自分の考えややりたいことをシェアする場だと考えれば、節約や投資の意味も理解できます。そうすれば、家族という夢の実現に協力してくれる最強の仲間ができます。

 なんだったら、食卓で『パックン式 お金の育て方』の朗読会でもやってもいいかもよ!

 (構成/増田侑真)

パックン
本名:パトリック・ハーラン。芸人・東京工業大学非常勤講師。
1970年11月14日生まれ。アメリカ・コロラド州出身。93年ハーバード大学比較宗教学部卒業。同年来日。97年、吉田眞とお笑いコンビ「パックンマックン」を結成。NHK「英語でしゃべらナイト」「爆笑オンエアバトル」をはじめ、多くのテレビ番組に出演し、注目を集める。「AbemaPrime」「報道1930」でコメンテーターを務めるなど、報道番組にも多数出演。2012年10月より池上彰氏の推薦で東京工業大学の非常勤講師に就任。コミュニケーションと国際関係についての講義も行っている。二児のパパ。
25年以上の投資歴があり、金融教育の講師として全国各地で講演会も行っている。
最新刊の『お金の育て方』では、「生活保護」状態から「お金持ち」になるまでに身につけた、誰にでもマネできる、お金との付き合い方を詰め込んだ。