著書『10年かかって地味ごはん。』(主婦の友社)が、レシピ本として異例の売り上げを記録している料理家・和田明日香さん。料理家として仕事をしながら日々、家族のためにごはんを作り、子どもとの会話も大事にしている。時間の使い方について聞いた。AERA 2022年11月21日号の記事を紹介する。

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 おいしくて栄養バランスの取れた料理を紹介しながら食育にも力を入れる和田さんは、3人の子どもの母だ。仕事と子育てに追われる女性の多くは、なかなか自分の時間を持てないことにストレスを感じがちだろう。和田さんはどのような時間の使い方をしているのか。

「一人で映画を見たり、読書をしたり、ショッピングをしたりといった意味での自分の時間はなかなか確保できません。でもストレスはあまりないです。私の場合、仕事をしている時間が“自分の時間”と思っています。子育てから離れ、仕事を通じていろんな人とお会いする時間も私の人生にとって貴重です」

 一方で、家族と過ごす時間も確保している。和田家の子どもは、上から12歳、10歳、8歳。 3人と向き合う時間を何よりも大切にする。

「仕事でご一緒するみなさんにも協力いただいて、17時には料理家の顔を終えるようにしています。子どもが保育園に通っていた頃は、それがお迎えの時間でした。3人とも小学生になった今は“17時ダッシュ”をしなくてもいいのですが、子どもが生まれて以来、続けてきた生活スタイルを大きくは変えないようにしています」

 仕事を終えた和田さんの日課は、スーパーで買い物をしながら夕飯の献立を考えること。17時まで働いて17時半にお店に着き、18時過ぎに夕飯を作り始めるパターンが多い。

「逆算すると、何時頃までに○○を終わらせなければ晩ごはんの時間に間に合わない、という仕事のゴール時間が見えてきます。優先すべきことから逆算するのがクセ。逆算すればスケジュールは自然に決まります。スーパー通いが頻繁なのは、食材を目で確認しないと、その日に作りたい、食べたい料理が思いつかないからです(笑)」

 たとえば「今日は中華が食べたい気分。麻婆豆腐と青椒肉絲のどっちにしようかな?」と思いながら野菜売り場へ。すると新鮮でやわらかそうなキャベツを見かけ、「やっぱり回鍋肉にしよう!」などといった具合にメインの献立が決まる。

「あらかじめ数日間の献立を考えて計画的に買い置きするのは苦手なタイプで、冷蔵庫・冷凍庫の中も割とスッキリしています。理想的には、その日に使う食材をその日に買って、すべて使い切るのが一番自分に合っている気がします」

■子ども時間は21時まで

 晩ごはんを食べているとき、和田さんはひたすら子どもたちの話に耳を傾ける。

「3人が自分の伝えたいことを一斉に話しかけてくるので、ハチャメチャですね。義母(平野レミさん)も同席していると、さらににぎやか。話があっちこっちに飛んでも聞き分けて、まるで聖徳太子(10人の訴えを聞き分けたと伝えられる)みたいになっています(笑)」

 食事を終えて、片づけて、子どもがお風呂に入ると21時。21時で子どもたちは各自の部屋に引きあげるというのが和田家のルールだ。どうしても見たいテレビ番組がある場合などは22時まで。この時間以降は居間でパソコンに向かい、自分の仕事をこなすこともあれば、料理を試作することもある。夫婦でゆっくりくつろぐ夜もある。

 和田さんがわが子に食を通して教えたいのはどんなこと?

「自分を大切にしてほしいということです。自分自身を大切に思っていれば、むやみに値段が安いものや、異常に早く提供されるものばかり食べるようにはならないはず。おいしいものをいっぱい食べて、幸せに生きてもらいたい。もっと大人になったら、安いものはどうして安いのかという疑問を抱くようになってほしい。値段を安くするために、裏で誰かが犠牲を強いられていないかということも想像できる子になってくれたら」

(ジャーナリスト・大西洋平/編集部・中島晶子)

※AERA 2022年11月21日号より抜粋