10月20日、川村学園女子大の公式ツイッターでこんな告知がなされていた。

「#相棒21 第1話・第2話の #ロケ地 として、#川村学園女子大学 我孫子キャンパスの学長室と食品加工実習室準備室が使われました」

 たしかに、テレビ朝日系ドラマ「相棒」(10月12日放映)の最終シーン、エンドロールには出演者、スタッフ、協力企業などが並び、撮影地として「川村学園女子大学」が登場していた。

 番組を見た同大学OGが教えてくれた。

「キャンパスは『相棒』の撮影に何度か使われています。でも、今回どこがロケ地になったのか、わかりませんでした。まさか学長室とは。学生時代には入ったことがなかったので、『相棒』で初めて知りました」

 川村学園女子大は昨年冬も「相棒」のロケ地になった。大学は次のように告知している。

「川村学園女子大学 我孫子キャンパスのグラウンドが12月15日放送のテレビ朝日ドラマ『相棒』のロケ地になりました。当日は水谷豊さんと反町隆史さんもいらっしゃいました」(大学ウェブサイト 2021年12月16日)

 この年からさかのぼること8年前にも、同大学で撮影があった。なるほど「相棒」にとって、 川村学園女子大は良き相棒らしい。

「相棒」は2000年に2時間ドラマとしてスタート、2002年から毎年、秋から春にかけて放映されており、今年で21シーズン目に入った。毎回、高い視聴率を誇る。

 各大学のウェブサイト、ツイッター、フェイスブックで紹介された「相棒」撮影のいわば備忘録をいくつか紹介しよう。

 麗澤大は番組内容までしっかり案内した。

「テレビ朝日系の人気ドラマ『相棒』の新シリーズ(シーズン16)が、10月18日(水)からスタートしました。放送日時は毎週水曜日の午後9時からです。このドラマは、警視庁内の『特命係』に所属している警部・杉下右京(演:水谷豊さん)が、相棒の冠城亘(演:反町隆史さん)と共に難事件を解決する刑事ドラマです。右京と亘のコンビも今回のシリーズで3年目を迎え、二人の関係の行方がますます楽しみな作品となっています」(2017年11月9日)

 関東学院大は、前後編の2話分あった。大学の良い宣伝につながると思ったようだ。

「放送中のテレビ朝日『相棒 season18』の第8話『檻の中 前篇』、第9話『檻の中〜告発』の撮影が、関東学院大学の横浜・金沢八景キャンパスで行われました。ぜひご覧下さい」(2019年12月4日)

 この回では、東京電機大が作った小道具が使われている。同大学が誇らしげに伝える。

「テレビ朝日の連続ドラマ『相棒 season18』に、理工学部ヒューマノイド研究部が協力しました。同研究部が製作したロボットを小道具として提供し、12月4日(水)と12月11日(水)の2回にわたり放送されます」(2019年12月4日)

 城西大現代政策学部はフェイスブックでこう報告した。

「遠目で分かりにくいかもしれませんが、教室でドラマの撮影が行われていました。城西大学はよくドラマのロケで使われています。3月に終わったドラマ『相棒』の最終回のロケ地も本学で、清光会館も使われていました」(2019年5月11日)

 日本大理工学部は事前告知である。テレビ局にとってはありがたい。それとも、番組情報が漏れて、かえって困惑していただろうか。

「3月18日(水)夜8時から放送予定のドラマ『相棒season18』最終回スペシャルの撮影に、応用情報工学科が協力しています。放送前のため、詳細についてはお伝えすることが出来ませんが、皆さん是非ご覧ください」(2020年3月16日)

 埼玉県立大では撮影協力番組の一覧表でこう触れている

「公開年月/2018.12、作品/『相棒 season17』、主な使用施設/共通施設棟・講堂 南棟廊下・食堂、主な出演者 水谷豊 反町隆史」。

 ほかに、「相棒」は全シーズン、映画(劇場版)をとおして、宇都宮大、埼玉大、埼玉県立大、駿河台大、武蔵大、東京薬科大、目白大、立教大などで撮影が行われている。

 朝日新聞出版「大学ランキング2023」では、テレビドラマ、映画のロケ地ランキングを掲載している。1位は 埼玉県立大だった。

 最近では映画「夏への扉−キミのいる未来へ−」(2021年)、ドラマ「ミス・ジコチョー〜天才・天ノ教授の調査ファイル〜」「ランウェイ24」「盗まれた顔〜ミアタリ捜査班〜」(以上、2019年)の撮影が行われている。

 同大学では、撮影の施設使用について、ウェブサイトでこんな説明をする。

「撮影による施設使用は、学内行事のない土・日・祝日、又は授業期間外の夏季休業期間中(8月上旬〜9月下旬)、春季休業期間中(2月中旬〜3月下旬)としています。また、撮影内容その他によっては、使用を許可できない場合がございますので御了承ください。撮影使用料(1時間当たり)、ムービー撮影(映画、ドラマなど) 40,744円(税込)」

 同誌、ロケ地ランキング24位で、「相棒」の撮影にも使われた明星大は撮影を歓迎するような告知をしている。

「このたびは本学での撮影をご検討いただき誠にありがとうございます。本学では教育・研究その他本学の業務等に支障のない範囲で、また撮影に使用された旨を本学の広報媒体に使用させていただける場合について、撮影にご協力いたします」(大学ウェブサイト)

 同大学では撮影許可条件を次のように記している。

*本学の業務、教育・研究・課外活動等に支障がないこと。
*本学の業務等に支障を及ぼさない時間、場所及び撮影方法であること。
*撮影内容が本学の信用・イメージを損なうものでないこと。
*公序良俗に反しないこと。
*撮影に要する備品・電源等は、撮影者側で用意すること。
*施設はすべて現状貸しとし、撮影現場の原状復帰は撮影者側が責任をもって行うことを誓約すること。
*「撮影協力:明星大学」等のクレジット表記を行うこと。
*撮影が行われた旨の告知を本学ウェブサイト・SNS等で行うことを承諾すること(公開日・内容については別途協議を行う)。(大学ウェブサイト)

 このなかで「撮影内容が本学の信用・イメージを損なうものでないこと」「公序良俗に反しないこと」は具体的にどのようなものだろうか。

 ロケが行われているある大学の関係者に「撮影NG」についてたずねたところ、(1)教職員、学長、学生がセクハラ、傷害、殺人に関与する、(2)大学ぐるみで不正を行う、大学が倒産する、(3)大量殺人やテロのような犯罪の舞台となる――こんな内容は許可できないそうだ。人間愛、有名企業や偉人のサクセスストーリーを描いた話は歓迎されるようだ。

 刑事ドラマの場合、殺害現場ではなく、登場人物が散策したり談笑したりする場として緑あふれるキャンパス、近代的な建物や学長室がよく使われる。

 ドラマ、映画の撮影に使われる大学にはいくつか特徴がある。都市部からそれほど離れていない(車で2時間以内)。緑が多く、近代的な建物がそびえ、おしゃれな施設がある。また、俳優やスタッフの送迎、撮影機材の運搬に大型の自動車やバスが使われるため駐車場のスペースが十分にあることだ。そして、撮影にあたって見学者が押しかけないことも重要だ。

 そういう意味で、冒頭に紹介した「相棒」の相棒、川村学園女子大はロケーション、雰囲気などぴったりで、テレビ業界では撮影に向いている大学として知られている。なかでもフジテレビ、テレビ朝日系が多い。いくつか紹介しよう。

「8月18日(水)放送の刑事7人において川村学園女子大学で撮影されたシーンの放送がありました。撮影当時は東山紀之さんもいらっしゃいました」(2021年8月19日)

「川村学園女子大学 我孫子キャンパスはテレビ朝日ドラマ『特捜9』(5月19日放送第7話)のロケ地になりました。撮影当日は井ノ原快彦さんもいらっしゃいました」(2021年5月20日)

「川村学園女子大学 我孫子キャンパスはフジテレビ新春ドラマ『教場2』のロケ地になりました。木村拓哉さんをはじめ目黒蓮さんや福原遥さんなどたくさんの俳優さんが3日間にわたりいらっしゃいました。音楽室・図書館・庭園・廊下などが撮影に使用されました」(2021年1月5日)

「川村学園女子大学 我孫子キャンパスは土曜プレミアム『4つの不思議なストーリー〜超常ミステリードラマSP・最後の買い物』のロケ地となりました。大教室・図書館・中庭が撮影に使われました」(2020年12月27日)

「川村学園女子大学 我孫子キャンパスは、フジテレビ1月期ドラマ『知ってるワイフ』のロケ地になりました。2021年1月7日(木)夜10:00〜から放送が始まり、大学時代の回想シーンとしてたびたび映ることになります。皆様ぜひ見てくださいね」(2020年12月18日)



 川村学園女子大事務部の熊谷憲輝さんは、ドラマの撮影に使われることについて次のように話してくれた。

「『相棒』が多いのはたまたまだと思います。我孫子キャンパスの正門から校舎まで一直線でつながっているメインストリートは、緑が多くとても美しい風景で和ませてくれます。校舎は扇形の変わったデザインで目を引きます。こうした環境、施設がドラマに合っているのでしょう。また、建物には長い廊下があり、これもドラマのさまざまなシーンで求められているようで、よく使われます」

 大学として心がけていることをたずねた。

「新型コロナ感染拡大の時期なので、使用した施設の消毒やスタッフの検温・マスクの着用などはテレビ局と相談して進めました。卒業生が『大学が映っていたね』と職員に連絡をくれることがあります」

 キャンパスがドラマの撮影に使われたことによって、受験生の関心が急に集まるというわけではない。しかし、在校生や教職員、卒業生の愛校心を高めてくれる。そして、撮影協力、という文化的な社会貢献を果たすことにもなる。

 ドラマのエンドロールで大学名が出てきたら、ぜひチェックしておきたい。わが街の大学でドラマに登場するすてきな施設を知っておこう。

(文/教育ジャーナリスト・小林哲夫)