ハーバード卒で日本在住歴25年以上のパトリック・ハーラン(パックン)は、「家を買うなら資産として」という考えを持っています。ただ、アメリカと日本での生活を経験することで、両国の差についても認識したそうです。その違いとはいったい何でしょうか? いまさら聞けない「お金の基本」から手堅くお金を増やす方法までしっかりカバーした、パックン初のお金の本『パックン式 お金の育て方』から、一部を抜粋・再編して公開します。

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■アメリカの資産形成は「まず家を買うこと」から

 アメリカではよく、「投資をする前に家を買え」と言われます。

 というのも、日本と違って、アメリカのほとんどの地域では、地価も家賃も基本的に上がり続けるものだからです。

 だから、アメリカでは賃貸生活は一時的なものだと考えられており、借金返済の次に、「住宅を持つ」ことが経済的自立に向けた大事な一歩だ、と考えられています。

 だから僕も、自宅について、投資の観点からずっと考えてきました。

 日本に持ち家を買ったのは、東京に出てから8年ほど経った頃でした。

 それまでは、大学入学と同時に親元を離れて以来、ずっと家賃を払い続けていて、「正直もったいないな」と感じていました。

 その家賃を住宅ローンにあてられていれば、自分で不動産を所有できたのに、と思っていました。

 そして、住宅ローンを完済したら、あとは固定資産税と修繕費くらいの出費で家に住み続けられます。これは、結構安心感が大きいですよ。

 しかも、日本では家賃と同じぐらいのローン返済額でも、賃貸物件よりはるかに広くて設備などが充実しているマイホームが買えます

 だから、10年以内に引っ越す予定がある人は別として、定住する場所が決まっているなら、(価値が安定している)持ち家の購入を考えましょう

■日本でも「持ち家」を勧めたい理由

 お金の面で持ち家のほうが良いのは、「日本の住宅ローンは恐ろしく条件がいいから」というのが大きな理由です。

 借金には良い借金と悪い借金があります。

 その中でも、住宅ローンはすごく良い借金です。

 金利がすごく低く、変動金利なら年0.5%を下回りますし、それが引き上がるとしても、その上がり幅にも上限が設けられています。

 銀行から求められる頭金も、年々減額されています。

 そして、団体信用生命保険に入ることで、所有者が死亡したときにはローンがチャラ。つまり、生命保険の代わりにも使えます!

 そんなわけで、住宅ローンを借りるチャンスがある人は、前向きに検討してみてもいいと僕は思っています。

 ときどき、「頭金を多めに出し、お金が貯まったらローンの繰り上げ返済をすべきだ」という人がいます。

 でも、僕は反対の考えです。

 そんなにお金を貯めたのなら、金利の低いローンよりも年利の高い投資にあてたほうがお金は増えるからです。

 また、持ち家には、キャピタルゲインのポテンシャルがあることも忘れないようにしましょう。

 言うまでもないですが、不動産価格が値上がりしているエリアで、家を買うのはとても良い選択です。

 手数料や税金を引いて、買ったときとほとんど同じ値段で売ったとしましょう。

 それは実質、家賃ゼロでずっとその家に住んでいたのと同じです!

 もしも買ったときより高い値段で売ったら、その分は儲け、つまりキャピタルゲインになります。

■「日本の持ち家」は、アメリカよりも確かにハイリスク

 アメリカだと、これは割と普通なのですが、日本では一部のエリア以外では狙ってできるものではありません。

 詳しくは説明しませんが、日本の税法やローン制度は新築を優先しており、中古物件の価値が失われる仕組みになっているからです。

 60年前に建ったアメリカのおばあちゃんの家がまだ値上がりしている僕から見れば、「とてもむかつくバカな制度だ!」と思いますが、それが現状です。

 そのため、住宅は値下がりしていくのが普通なので、安易に持ち家を儲かるものだと決めつけるのは、日本だとハイリスクです。

 でも、「値下がりするから絶対に買うな」ということではないです。

 また、無理して都心に住んで、キャピタルゲインを狙う必要もありません。

 計算してマイナスであっても、賃貸物件に暮らすより幸せを感じるなら、持ち家を買うのも一つの選択。それもいい買い物です。

 忘れてはいけないのは、お金で幸福度を上げるのが目的ということです。

 どの投資もそうですが、目を見開いて、冷静に決めましょうね。

 冷静にお金のことを分析する力を養いたいなら、ぜひ『パックン式 お金の育て方』を手に取ってみるのもおすすめだよ。

 ちゃんとロジックを組み立てて「どうやったらお金を上手に育てられるか」というポイントをこの本にまとめておきましたので!

(構成/増田侑真)

パックン
本名:パトリック・ハーラン。芸人・東京工業大学非常勤講師。
1970年11月14日生まれ。アメリカ・コロラド州出身。93年ハーバード大学比較宗教学部卒業。同年来日。97年、吉田眞とお笑いコンビ「パックンマックン」を結成。NHK「英語でしゃべらナイト」「爆笑オンエアバトル」をはじめ、多くのテレビ番組に出演し、注目を集める。「AbemaPrime」「報道1930」でコメンテーターを務めるなど、報道番組にも多数出演。2012年10月より池上彰氏の推薦で東京工業大学の非常勤講師に就任。コミュニケーションと国際関係についての講義も行っている。二児のパパ。
25年以上の投資歴があり、金融教育の講師として全国各地で講演会も行っている。
最新刊の『お金の育て方』では、「生活保護」状態から「お金持ち」になるまでに身につけた、誰にでもマネできる、お金との付き合い方を詰め込んだ。