買い物や投資のクレジットカード決済でもらったポイントは消える前に使うのが鉄則。2024年から始まる新しいNISAでもお得な投資信託のポイントサービスは利用できる。AERA2023年1月30日号の記事を紹介する。
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つみたてNISA(少額投資非課税制度)や一般NISAで投資信託のクレジットカード積み立てをすると、各社のポイント(0.2〜1.1%)がもらえる。主要ネット証券を中心に好評のサービスだ。楽天証券では電子マネーによる投資信託積み立てもスタートした。
2024年に大幅拡充となる、いわゆる“岸田NISA”では年間最大360万円まで投資信託などを非課税で買える(「つみたて投資枠」年120万円、「成長投資枠」年240万円)。制度自体も非課税期間も恒久化された。これから資産運用を始める人も、既に投資信託を積み立てている人も、クレジットカード積み立てを利用してお得をゲットしたい。金融商品の積み立て、つまり買い物などの“消費”ではないのにポイントがもらえるのは、元本が変動するとはいえ、感覚として金利に近い。メガバンクの預金金利が0.002%で横並びの中、最大1.1%という水準は大きい。
■有効期限のチェック法
ここで気にしてほしいのがポイントの有効期限だ。使わないまま消滅している人が意外に多い。投資信託の積み立てをしていない人も、クレジットカードによる通常の買い物などでポイントが貯まっているだろう。使わず眠らせたままでは“死に金”になる。
主要4社を比較すると、ポイントの有効期限が違っていた。楽天ポイントは期限内の新たなポイント獲得、Pontaポイントはポイント獲得かポイント利用で有効期限が上書きされるため、頻繁にカードを使えば事実上は消滅しない。ただ、楽天ポイントやPontaポイントの期間限定ポイントは一定期間で消える。期間限定ポイントは投資に使えないが、消えるポイントもあることを知っておこう。
三井住友カードのVポイントは獲得月より2〜4年(カードの種類により異なる)で自動失効。マネックスカードのマネックスポイントは獲得日の翌々年度末で失効。ポイントが消える前にメールで知らせる会社と、サイトで表示するだけの会社がある。消滅予告をしっかりしてくれると思わないほうがいい。
自分が持っているクレジットカードのポイントは、カード会社のサイトにログインすればチェックできる。昔から同じカードを使っていて、クレジットカードとネットをつないでいない人は、今から登録すればOK。
さて、ポイントは何に使えるのか。三井住友カード×Vポイント(SBI証券)は、専用アプリへチャージし、1ポイント=1円で買い物に使えるほか、クレジットカードの支払金額に1ポイント=1円で充当できる。楽天ポイント(楽天証券)は、楽天市場、楽天西友ネットスーパーなど楽天経済圏のサービスで使えるほか、コンビニなどでも利用できる。マネックスポイント(マネックス証券)は他社ポイント5社とAmazonギフト券から交換先を選べる。Pontaポイント(auカブコム証券)はauPAY残高にチャージして買い物で使うか、au経済圏で自在に使える。
■飛行機のマイル交換
飛行機のマイルに交換する手もある。VポイントはANAマイル、PontaポイントはJALマイルに、1ポイント=0.5マイルで換えられる。ANAとJALの両方に対応しているのが楽天ポイントとマネックスポイントだ。
実際、投資信託の積み立てで貯めたポイントはどのように使われているのか。楽天証券とマネックス証券から明快な回答があった。楽天証券は「楽天ポイントを楽天証券の中で何に使っている人が多いかという観点で、1位は投資信託。2位は米国株。3位は日本株」。マネックス証券の場合、「1位は投資信託。2位はTポイント、3位はAmazonギフト券」。マネックス証券はAmazonギフト券、dポイント、Pontaポイントに1ポイント=1円の等価で即時交換できる点が他社(三井住友カードのVポイントは1ポイント=0.8円相当で交換)より優れる。
■月5万円の縛りは継続
ポイントの使い道のおすすめとしては「投資信託や米国株への投資」を挙げる声が多かった。ネット証券の場合、投資信託は100円から販売手数料無料で買えるので、少ないポイントでも無駄なく再投資に回せる。
ポイントサービスには各社が相当な力を入れている。
「SBI証券はTポイント、dポイント、Pontaポイント、JALマイルから選べます。三井住友カードだけでなくタカシマヤカード、東急カード、アプラスカード、UCSカードでも投資信託を積み立てられます」(経営管理部の粟津優香さん)
「楽天証券では、家族で投資を始める人に、ポイントバック率が高くなる『家族プログラム』をおすすめします。また、投資信託の楽天カード決済に加えて
『楽天キャッシュ』の決済(0.5%/月5万円まで)も人気です。クレジットカード決済と併せて毎月最大10万円まで、ポイントをもらいながら積み立てられるので、新しいNISAの『つみたて投資枠』を最大限に活用できます」(アセットビジネス事業部の山口佳子さん)
「マネックス証券では、1マネックスポイント=1円で暗号資産のビットコイン、イーサリアム、リップルにリアルタイムレートで交換可能です」(経営企画部広報室の宮島一憲さん)
「auカブコム証券には、投資信託の月間平均保有残高に応じて毎月Pontaポイントが貯まるサービスがあります」(事業開発部の中島祐樹さん)
今回、話を聞いた4社とも、2024年から開始する新しいNISAでもクレジットカードによる投資信託積み立てのポイント付与を継続する意向を示した。なお「月5万円まで」という上限の縛りは金融商品取引法、内閣府令の定めにより変わらない見込みという。(経済ジャーナリスト・向井翔太/編集部・中島晶子)
※AERA 2023年1月30日号