公開中の「ブレードランナー2049」に出演するハリソン・フォードがAERAの表紙を飾った。

 180センチの体躯(たいく)に不思議な色気。「わ、本物が歩いてる!!」と思ってしまったくらいスクリーンのまんまだ。

 75歳と引退してもおかしくない年齢だが、ここ数年は話題に事欠かない。操縦していた自家用飛行機が墜落。大ケガを負ってニュースになったし、2年前には32年ぶりの映画「スター・ウォーズ」出演でファンを狂喜させるも、撮影中に足首を骨折。今年は35年ぶりに制作された「ブレードランナー」続編に出演。来年は「インディ・ジョーンズ」続編の制作に入ることも発表されている。

 出演映画41作品の興行収入を合計すると、トム・ハンクスらをゆうに抜いて世界第1位(2016年現在)。だが、俳優としては遅咲きだ。「スター・ウォーズ」でブレークしたときはすでに35歳。それまでは週給150ドルのスタジオ付き俳優で、フリーの大工として稼いでいた。世界中で知らない者はない人気者になったときは40代で、「現場ではほぼいつも最年長だった」という。

 公開中の「ブレードランナー2049」では、主演のライアン・ゴズリングと素手で殴り合うシーンをスタントなしでこなした。ゴズリングによれば「朝8時からの撮影でみんな眠そうなのに、ハリソンだけ元気いっぱいでスタジオに入ってきた」。しかも一度はゴズリングの顔面に本当にげんこつをくらわせてしまい、おわびのスコッチのボトルを手に楽屋を訪ねたというおちゃめなオチまでついてくる。

 愛想が悪いわけではないけれど、不必要に笑うことはしない。

「自分がどんなふうに記憶されたいかって? 息子と娘たちの記憶に残ればそれで十分だよ。人間は生まれて、生きて、死ぬ。そういうものだろう」

 ハリウッドスターにならなくても、きっと同じ人生観で生きていた。そう思わせる堅実さが垣間見えた。(ライター・鈴木あずき)

※AERA 2017年11月13日号