空白の7日間、彼は何を考えていたのだろうか。

 新潟市西区の小学2年、大桃珠生さん(7)が殺害されて線路に遺棄された事件で逮捕された小林遼容疑者(23)のことだ。

 事件が発覚したゴールデンウイーク明けの7日、小林容疑者は高校卒業後に就職した電気関連工事会社を初めて無断欠勤。直属の上司やほかの会社関係者が電話をかけるも連絡が取れず、総務関係者が男性の母親に「小林君どうしたんですか」と尋ねても、「『会社に行く予定でしたが、行ってませんか』と言うので、『来てませんよ』と伝えると、『すみません、連絡させます』という返事でした」(小林容疑者の勤務先社長)

 母親も気づいていなかったのだろう。小林容疑者の母親を知る近所の住人はこう話す。

「小林容疑者の母親は自宅から車で10分程度にあるショッピングモールで働いています。事件発覚3日後の10日にそのショッピングモールで会ったのですが、『早く犯人が捕まればいいですね』と話していました」

 小林容疑者は父と母、社会人の姉と大学に通う弟の5人家族。住まいのある小針地区は新潟駅から在来線で13分、市内中心部で働く比較的若い世帯のベッドタウンになっている。駅周辺には小中学生向けの学習塾が並び、朝夕にはたくさんの子どもたちの声が響く。出店準備をする店も目につき、いわゆる寂れた町のもの暗さとは無縁だ。近隣住人によれば、「(小林容疑者の)母親の祖父母が住んでいた場所を二世帯住宅に建て直し、20年ほど前から住み始めた」という。

 同じ屋根の下に住む母親が事件後の異変に気づかなかったとすれば、小林容疑者は事件発覚後も普段と同じ時間に家を出て、会社に行くフリをしていたのだろうか。勤務先へは体調不良を訴え、「ちょっと具合がわるくて迷惑かけて申し訳ないです。来週になったら行けると思います」と話している。

 いったい、どんな人物なのか。小学校時代の同級生の女性(23)はこう話す。


「目立つタイプではなかったですが、特にイジめられているというわけでもなかった。真面目な普通の子という印象です」

 小林容疑者が逮捕された後、同級生と事件のことが話題になり、卒業アルバムをめくった。小林容疑者は卒業アルバムのなかで将来の夢を『ゲームデザイナー』と書いていた。

 どちらかと言えば、インドアなタイプだったようだ。中学校時代の同級生の男性(23)はこう振り返った。

「中学時代は科学技術部に所属して、ロボットコンテストの出場メンバーとして頑張っていました。全国大会にも出場する実力で、部活動を熱心にやっていた印象です。だけど部活の仲間とは楽しそうでしたが、ほかの生徒や女生徒と遊ぶような場面は見たことがありません。人付き合いはそれほど積極的なタイプではなかった」

 現在は他府県で働く小林容疑者の近所に住む小中学校時代の同級生の男性(23)は、小林容疑者が逮捕されたニュースを知り、すぐさま車で帰郷した。その男性の親族はこう話した。

「顔を真っ赤にして、何も言葉を口にしませんでした。町は報道陣などでごったがえしていましたが、それでも事件が信じられないという様子でした」

 小林容疑者は中学卒業後、新潟工業高校電気科に進学し、事件直前まで働いていた電気関連工事会社に入社。高校からの評価も高かったのだろう。高校からの推薦で入社している。

 小林容疑者の周辺からは一様に「真面目」「信じられない」といった言葉が並ぶ。希望にあふれた幼い児童の未来を残忍に奪う凶行と容易には結びつかない。

 小林容疑者は14日朝、黒っぽい軽乗用車に乗っているところ、任意同行を求められた。車からは練炭が見つかった。自殺するつもりだったとも見られている。それが空白の7日で出した彼の答えなのか。彼には、犯行にいたった経緯や、彼自身の人生を自らの口で話す責任がある。(AERA編集部・澤田晃宏)

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