堺市の府営住宅で奇妙な殺人事件があった。

 4月15日、大阪府警堺南署に「人を殺した」と男が出頭してきた。

 男は無職の上村栄生被告(57)。上村被告は4月14日午前、堺市の自宅で電気コードで同居していた葛原一美さん(53)を殺害した容疑で起訴された。大阪府警捜査1課は5月5日、上村被告に犯行を唆した傷害致死教唆の疑いで、上村被告の妻、若菜容疑者(51)とその知人で和歌山市の会社員、寄本一裕容疑者(53)を逮捕した。

 2人の容疑は共謀し4月14日、「葛原さんの両目をつぶせ」などと上村被告に教唆、そそのかして、殺害させたものだという。男女4人の奇妙な人間関係の事件はなぜ、起こったのか?

 上村被告と若菜容疑者は、同じ集合住宅に住んでいたが、部屋はなぜか、別々で上村被告と一緒に暮らしていたのは、殺害された葛原さんだった。3人は昔からの知り合いで、そこへ昨年、若菜容疑者が知り合った寄本容疑者が加わり、関係が余計、ややこしくなる。

「上村被告に事情を聞くと、事件があった日。コンビニエンスストアで仕事をしていた寄本容疑者から『若菜が先ほど死んだ』とメールが届いた。続けて『若菜が亡くなったのは、ファミレスのトイレで葛原が若菜に大量の薬を無理やり飲ませたからだ』と。それで寄本容疑者が上村被告に『葛原の両目をつぶせ』とメールで教唆した。上村被告は妻が殺されたと信じ込み、腹を立てて葛原さんを殺害したと説明した。だが、調べると亡くなったはずの若菜容疑者は生きていたんです。驚きました」(捜査関係者)

 大阪府警は上村被告をそそのかして、葛原さんを殺害させた傷害致死教唆というあまり例がない容疑で若菜容疑者と寄本容疑者を逮捕した。

 上村被告夫妻、葛原さんに加えて、寄本容疑者がグループに加わったのは昨年10月。ネットゲームやSNSでつながっていたという。

その中で若菜容疑者が大事にしていたものを、葛原さんが勝手に捨てたなどとSNSの中で口論になっていたという。

 寄本容疑者は若菜容疑者からその相談を受け、葛原さんを襲い、ケガをさせたという傷害罪でもすでに起訴されている。

 不思議なのはSNSのトラブルだけで、こんな奇怪な殺人に発展するものなのか。寄本容疑者を知る人はこう話す。

「彼は地元の会社で普通の仕事していますよ。スマホが好きでゲームにはまっていた。SNSを通じて友達がたくさんいたみたい。よくゲームで知り合った人と会うと話していた。けど、殺人事件に関わるなんて信じられない」

 一方、上村被告は妻の若菜容疑者が死んだという寄本容疑者のメールを信じて、葛原さんを殺害したとされる。

「家で寝ていた葛原さんに上村被告が『若菜を殺したのか』と確認しようとした。だが、眠っていた葛原さんが取り合わなかったために、腹を立てて殺したと話している。妻の若菜容疑者は生きており、寄本容疑者のメールが嘘だったと知ると、本当なのかと上村被告は絶句していた」(前出・捜査関係者)

 実に奇怪な事件の真相は法廷で明らかになるのだろうか。
(本誌取材班)

※週刊朝日オンライン限定記事