「雅子さまあ」

 沿道の歓声を受けて車は、速度を落とした。

 新皇后雅子さまが座る後部座席左側の窓は全開になっている。ネイビーをアクセントにした白いジャケット姿の雅子さまは、沿道に向かって、笑顔で手を振っていた。その表情は明るい。



 7月29日、天皇陛下と皇后雅子さまは、横浜市で開催されたシンポジウムの開会式に出席した。もともと天皇陛下だけの予定だったが、直前に雅子さまも出席することに。式典後のレセプションでも雅子さまは、外国の研究者らと和やかに言葉を交わした。

 体調は、すこぶる良い印象を受けるが、

「実際は雅子さまの調子は、そこまで良いわけではありません。地方公務の日程を短縮したり出席する行事を絞り込んだりして綿密に計画を練っています。ご一家を支えるサポート体制が非常にうまく回っている状況が背景にあります」(皇室ジャーナリスト)

 雅子さまが好調な背景には、西宮幸子女官長の存在がある。元駐中国大使の妻で4年前に東宮女官長に就いた。語学や外交儀礼にも通じており、何より雅子さまとの関係が非常に良い。

「ご静養中のご一家が那須どうぶつ王国を訪れたとき、ふと見ると、雅子さまが隣の女性と声をたてて笑っているのです。そんなに打ち解けている相手は誰だろうと、不思議に思っていたら、東宮女官長に就任したばかりの西宮さんだったのです」(皇室記者)

 もう一人の要は、東宮時代から長く仕える、生真面目な古参侍従だ。

「あの式典でのお辞儀は、もう少し角度を深くなさったほうがよろしいかと思います」といったふうに、両陛下に忌憚なく進言することもたびたびあるという。

 昭和天皇に長く仕えた入江相政侍従長(故人)も、居眠りした昭和天皇の椅子を蹴ることもあったといい、他の侍従も当たり前に諌言していたというが、同じように強い忠誠心で令和の両陛下を支えているわけだ。

 好調な雅子さまといえば、トランプ大統領夫妻ら要人との会見をこなし、そのたびに「通訳なしでの会話」が称賛された。皇族が語学に堪能なのは、特別なことではない。なぜ、そこまで評価が高いのか。

 ひとつには、ボストンの高校から、ハーバード大学へ進学するなど、米国で生活した来歴が影響している。

「米国での生活が長い雅子さまの英語は、フレンドリーで相手をリラックスさせる話し方。上品なイギリス英語を使う上皇后さまとは対照的です。天皇と皇后相手に緊張していた国賓や賓客も、それで打ち解けて盛り上がるのでしょう」(前出の皇室ジャーナリスト)

 一方、上皇ご夫妻は、上皇さまの脳貧血、美智子さまの不整脈が確認されたものの、比較的元気なご様子だ。コンサートなどにも出かけ、7月末には、わずかな日数だったが、那須御用邸で静養した。だが、当初夏と見られていた引っ越しはなかなか進まない。

「平成の31年間は、目の回るような忙しさで活動なさっていたので、お荷物の量も膨大なのですが、仕分けは、ご本人でなければ決められないものがほとんどです。ですが、整理する書物をつい眺めたり、見返してしまったりすることもあるそうです」(事情に詳しい関係者)

 酷暑の夏だけに、引っ越しの整理が、お体の負担にならないように、と周囲では気をもんでいるという。(本誌・永井貴子)

※週刊朝日  2019年8月16日‐23日合併号