ステイホームで大旋風を巻き起こしている韓流ドラマ。5149件にのぼる激熱な回答をいただいた本誌アンケートの第2弾は「本当に観るべきドラマ」編です。韓流ドラマのおもしろさの秘密と愛される作品の作られる舞台裏を徹底リポートします。


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 まずは「一番好きな韓流ドラマ」ランキングから見てみよう。

 1位に輝いたのは、「屋根部屋のプリンス」(2012年)。東方神起・JYJの元メンバーで、歌手で俳優のパク・ユチョンが主演を務めたラブコメドラマだ。朝鮮時代から300年の時を超えてタイムスリップしてきたユチョン演じるプリンスと、現代に生きるヒロインとの恋を愉快に描く。威厳あふれる時代劇口調に伝統的な冠姿のプリンスが、現代にタイムスリップし、ジャージー姿でコミカルな演技を繰り広げ、ユチョンは「最高のハマり役」と好評を博した。ヒロインは、清楚な美しさで人気のハン・ジミン。「ソウルドラマアワード 2012」では最優秀作品賞、男優賞、女優賞と、人気賞の4冠を達成した大ヒット作でもある。

 アンケートでも、<胸がキュンと恋する気持ちが思い出され、何回も見直したくなる>(50代・女性)。

 アンケート回答者の98.5%は女性だったが、この作品は数少ない男性からも圧倒的な支持を得ていた。

<パク・ユチョンの演技が自然で巧み。コミカルからシリアスまで見飽きない面白さと演技力に魅せられた>(30代・男性)といった声が多数寄せられた。

 All About韓国ドラマガイドの安部裕子さんは言う。

「『屋根部屋のプリンス』は、タイムスリップ+ファンタジー+時代劇と、韓国ドラマにおける人気の3要素がそろった作品で、“タイムスリップものといえばコレ”という人も多い。俳優としてのユチョンの魅力に引き込まれる人が続出した作品でもあります」

<とにかく泣ける>という声も多く寄せられた。「韓国TVドラマガイド」の高橋尚子編集チーフもこう話す。

「『屋根部屋のプリンス』は、自分の奥様を亡くした脚本家が、奥様に捧げるドラマとして描いた作品とも言われていて、最後の場面は号泣必至。ストーリーを通じてコミカルなおもしろさもあり、根強い人気があるのもうなずけます」

 2位を獲得したのは、「トッケビ〜君がくれた愛しい日々〜」(16〜17年)。900年以上も前の人間が現代までずっと生き続けているという異色の設定のファンタジードラマだ。不滅の命を与えられ“トッケビ(鬼)”になってしまった高麗時代の英雄が、900年以上の時を経て、現代に生きる女性と出会ったことで始まるラブストーリーを描く。同作は“韓国のゴールデングローブ賞”と呼ばれる百想芸術大賞で大賞を受賞したほか、主演を務めた人気俳優コン・ユが男性最優秀演技賞を獲得するなど、韓国でも大きな話題を集めた。脚本は、ヒョンビンが主演を務めた人気ドラマ「シークレット・ガーデン」(10〜11年)や、「太陽の末裔」(16年)などでも知られる大ヒットメーカー、キム・ウンスク。手がける作品ごとにヒットを連発するラブコメの名手だ。アンケートでは、<あんな素敵な人に甘えられたいし、嫉妬されたいし、守られたい>(40代・女性)、<7度観ても心が揺さぶられる>(60代・女性)など熱烈な声が寄せられた。

「キュンキュンするストーリーの展開に、毎回唸らされる脚本家。最初はありえない設定だと思って観るのですが、ファンタジーの要素とリアルの要素が絶妙に組み合わさっていて、ぐっと引き込まれてしまう」(高橋チーフ)

 1位、2位ともに共通するのは、現実にはありえないような設定のファンタジードラマであること。韓国ドラマに詳しいライターの酒井美絵子さんは言う。

「つまり日本のドラマにはない“設定萌え”を求めている証拠。緻密に設計されたファンタジー設定は、韓流ドラマの大きな強みで、ファンタジー作品をきっかけに韓流ドラマにのめり込む人も多い」

 3位は今の韓流ブームの代名詞とも言えるドラマ「愛の不時着」。

 続く4位にランクインしたのは、今週の表紙を飾る“グンちゃん”ことチャン・グンソクの代表作「美男<イケメン>ですね」(09年)だ。グンちゃんは本誌の好きな俳優投票でも2位を獲得するなど日本で高い人気を誇る。「美男〜」の日本でのリメイク版が11年に放送され、大きな話題を集めた。

<ドラマの展開もよく引き込まれ、何度見ても飽きません>(40代・女性)

 ラブコメ作品で人気の脚本家・ホン姉妹が、「もし超人気イケメングループに女の子がいたらどうなるだろう」という発想から脚本を手がけたドラマで、大人気のイケメンバンドに加入した女の子の視点から、魅惑の日々を描く。

「『美男<イケメン>ですね』や10位の『私の名前はキム・サムスン』は、地上波での放送をきっかけにハマった主婦が多いのでしょう」(安部さん)

 5位は、韓国で最高視聴率45%を記録した大ヒットドラマ「天国の階段」(03〜04年)。甘く切ないラブストーリーを描き、同作で“涙の貴公子”との呼び名を得て、爆発的な人気を博したクォン・サンウと冬ソナのチェ・ジウが主演を務めた作品だ。「韓流ぴあ」の露木恵美子編集長が解説する。

「『愛の不時着』で『天国の階段』にハマっている若い北朝鮮の兵士が登場します。その兵士が韓国に来て、憧れのチェ・ジウと会う場面が描かれています。兵士は赤い帽子を被って登場しますが、それは『天国の階段』で、クォン・サンウが被っていた帽子なのです。『天国の階段』のファンにはツボなシーンです」

 6位は好きな俳優1位に選出されたパク・ソジュン主演の「梨泰院クラス」。

 父親を殺した財閥一族にリベンジする物語は男女ともに支持された。

<(主人公の)パク・セロイの人柄、仲間、事業の成功、復讐など1話から面白い>(50代・男性)

 続いて「初めてハマった韓流ドラマ」の順位を見てみよう。1位から10位までを見ると、現在の「愛の不時着」人気に至るまでの変遷がうかがえる。日本での第1次ブームは、圧倒的な首位に君臨する「冬のソナタ」。その後、王道のメロドラマ路線のまま「美しき日々」(8位)のイ・ビョンホンブーム、さらに「天国の階段」(3位)へと人気が広がる。その後、「宮廷女官チャングムの誓い」(9位)で時代劇人気が高まり、男性ファンも参入。09年から10年、「美男<イケメン>ですね」(2位)で、第2次ブームが到来。そして「愛の不時着」(6位)に代表される第3次ブームが起こる。

「韓国ドラマは1話が1時間以上×約20話続くなど、ストーリーが長い。だからのっけから視聴者を惹きつける要素が必要で、最近はラブ×ファンタジー×サスペンスなど、ジャンルミックスの傾向も強く、クオリティーもかなり上がっています」(安部さん)

(本誌・松岡かすみ、岩下明日香)

※週刊朝日  2020年7月31日号