漫画家&TVウォッチャーのカトリーヌあやこ氏が、「MIU404」(最終回/TBS系 9月4日[金]22:00〜)をウォッチした。


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「風が語りかけます。うまい、うますぎる」と、埼玉ローカルな「十万石まんじゅう」のCMフレーズを口ずさんでしまうくらい鮮やかだった「MIU404」の最終回。

 MIUとは機動捜査隊の頭文字で、404は2人の刑事・伊吹(綾野剛)と志摩(星野源)を指すコールサインだ。

 この物語で常に提示されてきたのは「分岐点」。

 かつて相棒を失った志摩。ピタゴラ装置に金属の球を転がしつぶやく。「(人は)何かのスイッチで進む道を間違える。その時が来るまで誰もわからない」

 きっかけは小さな悪意。それが引き起こす思いがけない結末。ブラジルでの蝶(ちょう)の羽ばたきが、テキサスで竜巻を起こすかもしれない。そんなバタフライエフェクトのように。

 最終回、2人の刑事は悪意のかたまりともいえる青年・久住(菅田将暉)と対峙(たいじ)する。志摩は撃たれて絶命し、絶望のどん底で伊吹は久住を撃ちぬく。「何があっても人を殺しちゃいけない!」と、殺人を犯した先輩の元刑事にそう叫んでいた伊吹が、ためらいなく。なんちゅーやるせないバッドエンドだよ!

 その時、壁の時計が未来へと動き出す。2020年7月24日・国立競技場。華々しく東京オリンピックが開催されている世界線。ここまで私「ええ? うわ〜。ええ? うわ〜」しか言ってない。

 ところがね、次の瞬間時間が巻き戻りました。「時を戻そう」。ぺこぱか!(出てないけど)。悪夢のような結末はまさに悪夢だった。分岐点が新たな道を開いていく。

 正直、警察車両で走行中の2人が、屋形船の中にいる久住をたまたま発見とかそんなんある〜?と思うけど、コロコロ綺麗(きれい)に転がっていく展開に運ばれて、「つっこむ」という分岐点が消えたね。

 久住が逮捕される世界線。世界はコロナの脅威にさらされ、オリンピックはもちろん延期。

「神様は俺より残酷やで。指先一つ一瞬で人も街もぜ〜んぶさらってまう」。そんな久住に志摩は言う。「生きて、俺たちとここで苦しめ」

 一つひとつのことがいつか大きく未来を変える。無線を受けた警察車両が動き出す。

「ゼロ地点から向かいます」。そう2020年、世界は0に巻き戻った。上空から映された国立競技場の形は数字の0。うまい、うますぎる。

カトリーヌあやこ/漫画家&TVウォッチャー。「週刊ザテレビジョン」でイラストコラム「すちゃらかTV!」を連載中。著書にフィギュアスケートルポ漫画「フィギュアおばかさん」(新書館)など

※週刊朝日  2020年9月25日号