凛とした力強さと潔さを感じさせる、秋篠宮家の次女・佳子さまの言葉。自身についてはもちろん、姉・眞子さまの結婚に関してや母・紀子さまに関する質問でも、まっすぐに言うべきことを口にする。その凛々しさは、天皇家で「次」に生まれたものの特権なのかもしれない。AERA 2020年10月26日号から。



*  *  *
「かくあるべし」という縛り、守るべきとされる「前例」。それを乗り越えやすいのが、「次」に生まれた者の特権。そう考えると、「次男の次女」である佳子さまが見えてくる。「最初」に生まれた人にはできない大胆なことが、「次」だからできる。

 かくして佳子さまは、はっきりと意見を口にする女性となった。そのことを最初に感じたのは、14年12月、成年を迎えるにあたって臨んだ記者会見だった。「ご家族はそれぞれ、どのような存在ですか」という質問に対し、まず秋篠宮さまについて語り、次に紀子さまについてこう語った。

「母は、週刊誌などでは様々な取り上げ方をされているようですが、娘の私から見ると、非常に優しく前向きで明るい人だと感じることが多くございます。幼い頃は手紙にスマイルの絵を描いてくれたことが、よく印象に残っております」

 すでに紀子さまバッシングのようなことが起きていた。それを踏まえて佳子さまは、「私の目に映る母は違います」と具体的に反論した。機会をとらえて言うべきことを言う。こういうことを凛々(りり)しいと言う。

 19年3月、国際基督教大学を卒業するにあたっての文書回答からも、それはにじんでいた。眞子さまの結婚問題について「私は、結婚においては当人の気持ちが重要であると考えています。ですので、姉の一個人としての希望がかなう形になってほしいと思っています」と回答したことが注目された。

 が、個人的には「お相手はいらっしゃいますか」という質問への回答に最も感動した。正確には「結婚の時期や、理想の男性像についてどのようにお考えでしょうか。お相手はいらっしゃいますか」という質問だった。以下、回答を忠実に再現する。

(1)結婚の時期
 遅過ぎずできれば良いと考えております。

(2)理想の男性像
 以前もお答えしていますが、一緒にいて落ち着ける方が良いと考えております。

(3)お相手の存在
 このような事柄に関する質問は、今後も含めお答えするつもりはございません。

■ご自身が住みたい社会

 丁寧かつ必要十分な回答だ。少し解説するなら、(2)の「以前もお答えしています」は前出の14年の会見のこと。その時も「一緒にいて落ち着ける方がいいと思っております」とほぼ同じ答えだから、何回聞かれてもこれしか答えないという佳子さまの意思表明だろう。(3)は、もっとすごい。私なりに翻訳させていただくなら、「未来永劫(えいごう)、答えません」。公開するプライバシーの線引きだと思う。

 思い出したのが、上皇陛下(86)の長女である紀宮さま(51、現・黒田清子さん)だ。90年、21歳の誕生日を前に初の記者会見をし、結婚について聞かれて以来、ずっと聞かれ続けた。その都度、紀宮さまは根気強く答えたが、27歳の時に「これからは答えを控えたい」と述べた。が、その後も事態は変わらず、質問から「結婚」の文字が消えたのは、31歳の誕生日会見だった。

 その頃と比べれば、「個人情報」への考えは大きく変わった。とはいえ、国民が女性皇族に寄せる「好奇心」はさほど変わっていないだろう。だからこそ佳子さまの回答に感動する。強さあってのもの、「次男の次女」のなせる技。そう思う。

 ところで、とうとう「立皇嗣の礼」が11月8日と決まった。安倍政権は「一連のお代替わりの儀式が終わるまで」として、「女性宮家」や安定的皇位継承の検討をずっと先延ばしにしてきた。「天皇の退位等に関する皇室典範特例法」が付帯決議でこれを求めてから3年。これで儀式は一区切りだ。

 佳子さまは、10月10日、日本でのガールスカウト運動100周年を記念する「国際ガールズメッセ」のプレイベントへのメッセージで「誰もが人生の選択肢を増やすことができ、自らの可能性を最大限にいかしていける社会」を願っていた。きっと、ご自身が住みたい社会に違いない。佳子さまの言葉が、菅首相に伝わることを願っている。(コラムニスト・矢部万紀子)

※AERA 2020年10月26日号より抜粋