放送作家・鈴木おさむさんが、今を生きる同世代の方々におくる連載『1970年代生まれの団ジュニたちへ』。今回は、人間を成長させる欲について。


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 売れない芸人さんが売れてモテたい。いい家に住みたい。金持ちになりたい。人間、欲というのが人を成長させる大きな動機になるんだよなとあらためて思ったことがある。
うちの息子は現在5歳ですが、家のテレビでYouTubeを見ることができるので、1歳半くらいからYouTubeを見ている。3歳越えたあたりからは自分でリモコンを操作して動画を見るようになった。

 最近はYouTube、Netflix、Amazon Prime Videoを理解していて、ドラえもん、クレヨンしんちゃんを見る時はNetflix、クレヨンしんちゃんの映画を見る時にはAmazon Prime Video 、動画を見る時はYouTubeと自分で使い分けている。

 残念ながら地上波を自ら選ぶことはない。というか、ドラえもんやクレしんが地上波で毎週放送しているものという認識もない。Netflixで見ることのできるアニメだと思っている。僕や妻が地上波に変えるとガッカリするので、その都度、息子に僕や妻の仕事を説明したりする(笑)

 うちのテレビはリモコンで音声検索ができる。息子が4歳の後半だったろうか、妻が気づいたのだが、YouTubeの検索履歴に「しずかちゃんのおふろ」という言葉があることに気づいた。申し訳ないが僕ではない。そう、息子が音声検索を使って調べていたのだ。僕も妻も隠しておくタイプではないので息子に「おまえ、何調べてんだ!!」というと、照れながら笑う息子。

 運よくそのタイミングでリモコンの音声検索が出来なくなった。逆に都合がよいので、修理するのはやめようと決めました。文字が分からないので、文字検索は出来ない。

 それからしばらくして、妻のスマホを借りた息子。あとで妻が僕に検索履歴を見せてきた。なんと妻のスマホの音声検索で、「おっぱい」とか「おしり」とか、そんな言葉を検索していたのだ。

 大人同様、子供は子供で保育園で情報共有しているのだろう。思い出してみる。僕も息子の年齢くらいの時にアニメ「キューティーハニー」の変身シーンで人生初の興奮を覚えていた気がする。もしあの時、音声検索が出来ていたら僕も「キューティーハニー おっぱい」とか検索していたのだろう。

 妻が息子に注意する。照れて笑ってごまかす息子。そこから、検索の設定をしたり対策をたてました。

 で、息子は5歳。周りの子はすでに平仮名を読んだり書いたりする子もいます。うちはそういうことをあまり教えていないため、平仮名はほぼ、読めないし書けませんでした。

 YouTubeの動画で少しずつ教えたりはしていますが、本当に覚えたい時が来たら自分で覚えるだろうと思っていたりして。

 でも、その時は意外に早く来ました。最近、息子は平仮名を覚えようとしている。覚えたがっている。その先に、おそらく自分で文字を打って「検索」できるようになりたい!という欲が見え隠れしている。

 そこで思う。欲ってすごいなと。欲というと、ネガティブにも聞こえるが、欲が人を成長させることもあるよなと自分の成長を振り返る。

この調子だと、まあまあ早く覚えそうだ。欲すごし。

■鈴木おさむ(すずき・おさむ)/放送作家。1972年生まれ。19歳で放送作家デビュー。映画・ドラマの脚本、エッセイや小説の執筆、ラジオパーソナリティー、舞台の作・演出など多岐にわたり活躍。パパ目線の育児記録「ママにはなれないパパ」(マガジンハウス)が好評発売中。バブル期入社の50代の部長の悲哀を描く16コマ漫画「ティラノ部長」の原作を担当し、毎週金曜に自身のインスタグラムで公開中