幸せだった一家を突如、襲った惨劇は発生から1年8カ月を経て大きく動いた。



 茨城県境町の民家で2019年に会社員の小林光則さん(当時48)と妻の美和さん(当時50)が殺害され、子ども2人も重軽傷を負った事件で、茨城県警が埼玉県三郷市に住む無職、岡庭由征容疑者(26)を夫婦への殺人の疑いで逮捕した。

 捜査関係者によると、岡庭容疑者は現在、茨城県警境警察署に拘留中。
県警はことし2月に岡庭容疑者が偽造した警察手帳を所持していたとして公記号偽造容疑で逮捕していた。

 しかしこの逮捕には前段があった。

「去年11月に埼玉県警が危険物を所持しているとの情報提供を受けて岡庭容疑者の自宅を家宅捜索。44キロに及ぶ硫黄が見つかったため、消防法違反罪などで男を逮捕していた」

 岡庭容疑者はどんな人物なのか。

 警察関係者によると、岡庭容疑者は10年ほど前に埼玉県と千葉県で女子中学生、小学女児に対する殺人未遂事件を起こし逮捕・起訴されていた。

 岡庭容疑者は当時16歳。自宅からは数十本の刃物が見つかり、調べに対し「人を殺してみたかった」と供述していたという。

 岡庭容疑者はこの事件の他に17件の放火や猫の死骸を遺棄したとして立件されている。

 岡庭容疑者を巡っては、請われるままに刃物を買い与えていたとして父親が銃刀法違反で書類送検されている。

 今回の事件では催涙スプレーをかけられ軽いけがをした小林さんの次女(当時13)が「帽子とマスク姿の男に襲われた」と供述。

 警察は付近の聞き込み、防犯カメラの映像を調べるなどして行方を追ってきた。

 記者は事件発生から1か月後の現場を取材したが、当時は有力な手掛かりはなく、2人の捜査員が被害者宅の目の前に拡がる釣り堀の会員名簿を押収し調べるなどしていた。

 捜査関係者によると、境署捜査本部では不審者情報を中心に裏付け捜査をすすめていたという。

「岡庭容疑者と一家との接点は見当たらないが、犯行を裏付ける物証が得られた。今後は供述面で裏を取っていく」(警察関係者)

 男は凄惨な事件の動機について何を語るのか。(野田太郎)