1926年開園し日本で最も古い遊園地として94年間の歴史を昨年8月に閉じた「としまえん」。そのアトラクションや遊具が日本各地の遊園地へ移設され“再就職”していると報じられたが、としまえんのシンボルだった世界最古の回転木馬「カルーセルエルドラド」の再就職先は果たして決まったのだろうか?


*  *  *
 としまえんの巨大立体迷路「トリックメイズ」は2分割され山形県上山市の「リナワールド」と栃木県那須郡の「那須高原りんどう湖ファミリー牧場」へ、ジェットコースター「コークスクリュー」は宮城県仙台市の「八木山ベニーランド」へ、それぞれ移設された。

「グループ会社の八景島シーパラダイスには、バブルシューティング、バタフライダー、フライドイーグルが移設されました。西武遊園地にチャレンジトレインと模型電車が移設され、5月19日にグランドオープンしました」

 アトラクションや遊具の再就職先を教えてくれたのは、としまえんを所有する西武鉄道広報。2020年8月31日、94年間の歴史を閉じる瞬間、感動的なフィナーレの舞台となった世界最古で機械遺産である回転木馬「カルーセルエルドラド」は? としまえんの「顔」ともいえる回転木馬だけに引く手あまたなのでは……。

「実は、回転木馬・カルーセルエルドラドの移設先まだ決まっていません。モノ自体は解体できるので一度解体してグループ内で保管をしています。このまま保管なのか、どこかに移設するのかは全く決まっていなくて……。色々な可能性を含めて検討しているところです。移設の希望の手を挙げている所もまだないような段階です。遊具の中でもかなり重要なものではあるので大事に保管しているところです」(西武鉄道広報)

 世界最古の貴重な回転木馬の再就職先は全くの白紙状態だった。先に移設されたアトラクションは“大活躍”しているようで、としまえんのコークスクリューが移設された八木山ベニーランドの園長・八木充幸さんが教えてくれた。

「私どもも予想外だったのが、としまえんのファンの方が“あのコークスクリューが仙台で活躍しているんだ!”と喜びの声を寄せてくださっている。それが嬉しくて有難かったですね」

 そもそも、なぜ、コークスクリューの移設先に手を挙げたのだろうか。

「私たちのところには、コークスクリューの初号機が元々ありました。としまえんさんのは、改良された2号機だったので移設をしようとなりました。その2号機はとしまえんさんで26年間程使用されたものではあったんですけれども、私どものは初号機ですから42年選手だったんです」(八木園長)

 年季の入った42年選手の初号機はビンテージカーのような角ばった印象で、26年選手のとしまえんの2号機は新幹線のはやぶさのような流線形のフォルムをしている。(※八木山ベニーランドのホームページに初号機・2号機の写真が掲載。)

 なんと、八木山ベニーランドの初号機も“再就職先”が!

「私どもの初号機はだいぶ年季が入っていたので処分しかないかと思っていたんですが、移設の仲買をしてくれるメーカーさんの方で“整備状態もいいので出しましょう”となり、北海道の遊園地に打診してくださいました。本当に、大事に使っていた賜物ですね。そういう点では嬉しかったですね」(八木園長) 移転先でそのまま使用するわけではなくて、一旦工程上の分解整備をして、検査をして導入となるそう。分解整備、運搬、検査……となると費用もかさみそうではあるが?

「あははは、金額ですか? 売却金額は西武鉄道さんの査定ですが、あとは仲買のメーカーさんの資材部に運んでオーバーホールして、八木山ベニーランドに搬入して、付帯工事などもあり、そういうものを一式含めると……本体自体の価格は全体の費用に対してそんなにたいしたことはないんです。費用的には分解整備、オーバーホールの費用が大きいんです。一輛ごとに中を分解して、部品を交換して、また元の状態に戻す。全体の費用としては2000万円の中で収まりました。私どももコロナ禍で厳しい状況でも対応できたところです」(八木園長)

 このように再就職先で大切にされ、活躍している遊具だが西武鉄道広報はこれを受け、

「第二の人生ではないのですが嬉しいことですね。としまえんはマイナスなイメージで閉園した遊園地ではないので、来園いただいた皆様の思いの詰まった遊具でまた楽しんでいただきたいなと思っています」

 世界最古の回転木馬「カルーセルエルドラド」の再就職先決定が待ち遠しい。

(取材・文=AERAdot.編集部・太田裕子)