作家・室井佑月氏は、衰退する日本を憂う。



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 いつ終わるかわからないコロナ禍で、はっきり見えてきたのは日本の衰退だ。マスクもワクチンも、すぐに用意できず。というか、30〜40年前の日本なら、独自でワクチンを開発できていたんじゃないか。それが出来てたらこの国は潤ってたはずだし、途上国に寄付などしたら尊敬もされたはずだ。

 だいたい国民の安全そっちのけで、一部の人の思惑で国を挙げてのお祭りをするって、マジで衰退国だよ。

 多くの人がそれに気づく日も、そんなに遠くないような気がする。健康保険制度に加入しているのに、苦しくても入院できないってどういうこと? コロナが明けても、気軽に海外旅行へ行けなくなっているかもな。

 この国の敏(さと)い人は、今だけ自分だけ仲間だけという短絡的な価値観だ。血税で肥えようとする輩は、その最たる者だ。

 今、あたしたちの血税で儲(もう)けている企業は、世界と競争しても勝てるような研究をしているか? なにかを作り出しているのか?

 8月13日の東京新聞に「最大9次下請け、564社関与 持続化給付金『中抜き』批判の電通再委託問題 経産省が検査の最終結果公表」という記事が載っていた。

「国の持続化給付金事業で再委託や外注が繰り返された問題で、不透明な業務や支出の無駄がないかを検査していた経済産業省は12日、最終結果を公表した。事業に関与した企業は564社(受注額100万円以上)に上り、下請けは最大9次まで及ぶことが明らかとなったが、経産省は『手続きや取引の適切性を確認した』と結論づけた」

 適切性を確認? バカいっちゃいけないよ。持続化給付金といえば、困っている人に配られる金だ。その金は、経産省から669億円で一般社団法人サービスデザイン推進協議会(サ協)に回され、そこは29億円中抜きし、640億円で電通に再委託する。そして、電通が79億円中抜きし561億円で、他の会社に外注し……ということが9次下請けまでくり返された。

「事業は電通などが設立に関与したサ協が受注した後、電通に再委託。電通は複数のグループ企業のほか、同様にサ協の設立に関与したパソナやトランスコスモスなど『身内』に外注を繰り返していた」

 持続化給付金というものの本質を考えず、身内同士で税金に蟻(あり)のようにたかる。その金はこの国の発展、これからにつながらない。彼らに恥という感覚はないのだろうか。

 また、こういう輩(やから)にたかられる日本も、死にかけだからなんだろうと思う。国民にとって必要な事業やそこで使う税金の采配も、国としてもうちゃんと出来ないのだから。

室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中

※週刊朝日  2021年9月10日号