ずいぶんと手の込んだ風景画だと感じた人も多いのではないか。しかしここに紹介するのは、まぎれもない写真である。通常とは異なり、「箔」を用いて作られた。作品は金箔に、アルミ箔にプリントされている。

 写真家の織作峰子さんが説明する。

「私の故郷・石川県には、伝統工芸として金や銀、プラチナなどの箔があります。箔作りを生業とする知人たちもいます。地元の伝統工芸を継承するために写真と融合できないかと思い、6年ほど前から研究を重ねてきました」

 膠を使って金などの箔を貼った和紙の上から、インクを吹き付け制作する。

「フォトグラフというのは、光の粒子で絵を描くという意味なんです。箔に載せたら、光の粒子が跳びはねているような感覚を覚えて。華やかさ、不思議な生を持った表情に興奮しました。光の角度によって、まったく違うものに見えるのも面白い。白熱灯の下で見るのと自然光で見るのとでも違いますし、朝の光と夜の光でも違った表情を見せてくれるんです」

 今回展覧会で発表する作品は、いずれも以前にプライベートな旅先でゆっくりと心を落ちつかせて撮ったもの。日本の風景美が「箔」の上で輝きを増す。

(取材・文/本誌・菊地武顕)

※週刊朝日  2021年10月1日号