映画「Our Friend/アワー・フレンド」が、全国公開している。かつてヘミングウェイなども寄稿した「エスクァイア」に掲載され、全米雑誌賞に輝いたエッセーの映画化。監督はドキュメンタリー映画で注目されている気鋭の女性監督で俳優としても活躍するガブリエラ・カウパースウェイト。

 仕事に打ち込むジャーナリストのマット(ケイシー・アフレック)と妻で舞台女優のニコル(ダコタ・ジョンソン)は、2人の幼い娘を育てながら懸命に毎日を送っていた。

 しかし、ニコルが末期がんの宣告を受けた日から、一家の生活は一変してしまう。妻の介護と子育てによる負担が重くのしかかるマット。そんな彼に救いの手を差し伸べたのは、親友・デイン(ジェイソン・シーゲル)だった。デインは、はるばるニューオーリンズからアラバマ州の田舎町フェアホープまで車を走らせ、2人の家に住み込んでサポートすることに。2年にも及ぶ闘病生活。3人の想いと苦悩が交錯していくなかで、愛と友情の先に彼らが見つけた希望とは──。

本作に対する映画評論家らの意見は?(★4つで満点)

■渡辺祥子(映画評論家)

評価:★★★★

苦しみに耐える夫婦を支える親友の友情と思いやり、彼に寄せる夫婦の信頼。その中に生まれてくる心和む瞬間の温かみが涙を消してしみじみと胸に迫る想いを生み出す。悲しい話だが救いも用意されている幸せなドラマだ。

■大場正明(映画評論家)

評価:★★★★

告知を分岐点として、それ以前と以後を往復しつつ三者の人物像や関係を掘り下げていく構成が素晴らしい。本当に相手を必要とする時にそこにいてくれる親友以上ともいえる特別な関係。終末期医療もしっかり描いている。

■LiLiCo(映画コメンテーター)

評価:★★★★

こんなにも優しくおしゃれに熱い友情を描けるなんて。参りました、涙腺崩壊! 自分の楽しみを犠牲にしてまでこの家族と自然に溶け込める素敵な人柄。そこには過去も関わっています。何度も観たい! 秋にぴったり!

■わたなべりんたろう(映画ライター)

評価:★★★★

がんで余命宣告を受けた妻とその家族、その家族をサポートする友人の実話の映画化。感傷的なドラマになりそうなところを人間関係に絞って描いて成功している。人の誠実さと相手を思う行動力の大切さに心を打たれた。

※週刊朝日  2021年10月29日号