国民の7割が新型コロナウイルスのワクチン接種を終えた。12月には、追加のブースター接種が始まる見通しだ。ブースター接種とはどんなものか? AERA 2021年11月8日号から。

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Q:なぜブースター接種が必要なの?

A;接種から時間が経つと効果が落ちるからだ。特に感染を防ぐ効果が落ちてくる。ワクチン接種が早く進んだ英米やシンガポールなどではワクチンを打っていても感染する、ブレークスルー感染が増えてきている。

 米疾病対策センター(CDC)の予防接種諮問委員会によると、ファイザー・ビオンテックのワクチンは、有症状の感染を防ぐ効果が接種完了時の92%から2回目の接種後200日を過ぎると65%に、モデルナでは95%から70%に下がるという。

 一方、入院が必要になるほど重症化するのを防ぐ効果は、接種半年後に2割程度は下がるものの、それでもワクチンを打たない場合に比べれば大きい。18〜64歳では、ワクチンを打っていない人の入院率は、打った人の20倍以上高い。65歳以上になると差は小さくなるが、打たない人の入院率は打った人の10倍以上高いという。

Q:追加接種が必要なのはどんな人?

A:追加の接種には2種類ある。2回接種を完了しても十分な免疫がつかなかった人への追加接種と、いったんできた免疫の効果が低下したため、効果を増幅するために打つ「ブースター接種」だ。前者は、免疫が十分に働かない人に必要だ。一方、ブースター接種の必要性や時期は国際的に議論がある。

■国により方針異なる

 免疫疾患にかかっていたり抗がん剤治療中だったり、移植後に免疫抑制剤を飲んでいたりして免疫が抑制された状態にある人は、2回接種では十分に免疫がつかないことがある。国際的に、そういう人には追加でもう1回、接種することが望ましいとされており、夏にはすでに追加接種を始めた国も複数ある。

 一方、ブースター接種について世界保健機関(WHO)は、途上国には1度も接種を受けていない人が大勢いるとして、まずは未接種の人への接種を優先させるため、年内はブースター接種を始めないよう求めている。しかし、欧米やイスラエル、中国、シンガポールなどで次々とブースター接種が始まっている。

 ブースター接種の対象は、国によって方針が異なる。イスラエルは12歳以上全員が対象だ。米国は、ワクチンの種類によって対象が異なる。ファイザーやモデルナのm(メッセンジャー)RNAワクチンは健康な人の重症化を防ぐ効果はまだ維持できているとして、現時点ではブースターの対象は、重症化リスクの高い65歳以上や持病がある人、感染リスクの高い医療従事者らに限定されている。

■12歳以上全員が対象

Q:国内ではいつ始まるの?

A:2月に先行接種が始まった医療従事者を対象に12月にも始まる見通しだ。続いて、重症化リスクの高い高齢者や持病のある人へと対象が広がり、いずれは2回接種した12歳以上全員が対象になる。

 厚生労働省のワクチンに関する専門家会議の分科会は10月28日の会合で、感染リスクや重症化リスクが高い人だけでなく、ワクチン接種を2回完了した12歳以上全員にブースター接種をするべきだという意見で一致した。11月中旬の会合で正式に決め、順序や時期についても詳しく検討される見通しだ。

Q:効果はどれぐらい?

A:ファイザーは10月21日、ブースター接種の効果を調べる臨床試験(治験)で、有症状の感染、つまり発症を防ぐ効果が95.6%あったと発表した。

 臨床試験では参加者1万人を無作為にブースターを打つグループと偽薬を打つグループに分け、中央値で2.5カ月間観察した。ブースターを打ったグループで発症したのは5人だったのに対し、偽薬のグループは109人だった。

 モデルナが10月21日に米CDCの予防接種諮問委員会に提出した資料によると、ブースター接種により、デルタ株に対する感染を抑える抗体価が、接種前の17倍上がったという。(科学ジャーナリスト・大岩ゆり)

>>【後編:ブースター接種「副反応」 2回目までと何が違う? 重さや多い症状とは】へ続く

※AERA 2021年11月8日号より抜粋