11月25日、秋篠宮さまが30日に誕生日を迎えるにあたり、記者会見が行われた。眞子さんの結婚が、皇族として「公」より「私」を優先しているという批判に対して、語られた言葉からは複雑な胸中が垣間見えた。AERA 2021年12月13日号から。

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 ニューヨークにいる小室眞子さんは、うれしかったのではないかなあ。11月30日、秋篠宮さまの誕生日にあたっての記者会見でそう思った。眞子さんの公務に邁進(まいしん)した姿をほめたのだ。56歳になる秋篠宮さまの、30歳になった娘を思う本当の気持ち。それが伝わってきて、心が動かされた。

 小室圭さんのことは、厳しく語った。今年4月に公表した母親の「借金問題」への説明文書を、「自分の口から話をして、質問にも答える、そういう機会があった方がよかった」と述べた。結婚に伴う儀式の中止を決めたのは自分で、その理由は「あれを読んでみんながすぐに納得できるというものではない」と判断したからだと説明した。

■「公」を優先してきた

 父の夫への苦言は、眞子さんにはつらいだろう。が、それはきっと結婚への道程で、わかっていたことだと思う。だけど自分のことを会見でほめてくれ、かばってくれることは予想していなかったのではないだろうか。と、これは私の勝手な推測だ。

 宮内記者会からの最初の質問に、「(眞子さんの結婚を通じ)皇族としての『公』と一個人としての『私』など皇室そのもののあるべき姿が議論されましたが、殿下はどのようにお考えでしょうか」というものがあった。秋篠宮さまは「公は常に私に優先されるべきものだと思います」と答え、こう述べた。

「彼女は結婚するまでの間、皇族でいる間、公的なものと私的なものとの場合には、常に公的なものを優先してきていると私は思います。これは海外の訪問も含めてですね」

 眞子さんが公務に熱心だったことは、11月1日号にも書いた。2015年にエルサルバドル、ホンジュラス、16年にパラグアイ、17年にブータン、18年にブラジルを訪問している。秋篠宮さまは「彼女は」と三人称を使いつつ、娘の働きぶりを訴えた。

 眞子さんが「私」、つまり結婚を優先しているという批判があった。秋篠宮さまは会見でそのことに触れ、「結婚すると公にしてからの4年、私を優先させたと言われるなら」として、こう言い切った。「10年経っても20年経っても結婚はできないということになるかと思います」

■率直に語り問題提起

 結婚における男性皇族と女性皇族の手続きの違いも指摘した秋篠宮さまは、眞子さんの結婚と「(皇族の)公と私のこと」を重ねて論じることへ「少し疑問に思いました」とも述べた。

 娘を持つ親として、望み通りに結婚させたいという思い。「皇族の公と私」論は理解しつつ、その入り口が眞子さんの結婚であることへの違和感。両方を語った。お代替わりの半年前の18年、「大嘗祭への公費支出」に疑問を投げかけた時と同じだと思う。自分の考えを率直に語り、問題提起をする。そのことで、皇室と国民が近くなる。そう思い定めているのが秋篠宮さまだ。

 眞子さんの結婚も、18年に「多くの人が納得し喜んでくれる状況にならなければ、納采の儀を行うことはできません」とし、20年には「結婚することを認めるということ」とした。が、その真意を問われると、「結婚と婚約は違いますから」と述べ、揺れる思いを隠さなかった。

 秋篠宮さまは上皇さまや天皇陛下と違い、記者会見でメモを見ない。事前に質問は出されているが、会見場には手ぶらで入る。次男だからこそ、父や兄とは違う形で国民との橋渡しをしよう、そのためにはできるだけ自然に、自分の言葉で。そういう思いの表れだと思う。(コラムニスト・矢部万紀子)

※AERA 2021年12月13日号より抜粋