中日・立浪和義監督

 長期の低迷に苦しむ中日は今オフ、巻き返しに向けて積極的に動くのだろうか。チーム強化のためには選手はもちろん、立浪和義監督を支えるコーチ陣に新たなメンバーが加わるかにも注目が集まっている。

 9月15日に立浪監督の来季続投が発表された。現役引退時から監督待望論が強かった「ミスタードラゴンズ」だったが、就任から2年連続となる最下位の危機に瀕している。不可解な采配や時代錯誤とも言える振る舞いにも批判が増え始めている中、ネット上を中心に続投に対しては疑問の声が上がっている。

「立浪監督続投には反対意見が多い。指導者経験の乏しさが采配面で顕著に現れた。指導方法は昭和的で時計の針が逆に回ってしまった感じもする。誰もがチームを一新して強い中日を作り上げてくれると思っていた中、期待外れと感じるのも理解できる」(在京テレビ局スポーツ担当)

「何とか3年でチームを改革してほしい、道筋をつくって欲しいとお願いをして引き受けて頂いた経緯がある」(加藤宏幸球団代表)と監督続投は既定路線。しかし、このままでは来年も苦しい戦いが予想される。

「PL学園時代から厳しい主将だったことは有名だが笑顔を絶やさず優しい印象もあった。しかし実際は『自分が絶対』という昭和時代の考え方が目立つ。若手選手も増え始めた中でチームの雰囲気が良くなかったのは想像できる」(中日担当記者)

 そんな中で大事となってくるのがコーチの人選とも言われている。

「我々の時代の常識は通用しない。立浪監督は本当に苦労していると思う。性格や人間性はなかなか変えられない。それなら監督に助言できたり、選手をフォローできる人物が必要になる。今オフはコーチやスタッフの人選が本当に重要」(中日OB)

 8月上旬には試合前の食事会場から白米の提供を禁止した「令和の米騒動」が物議を醸した。栄養やコンディショニングに長けた人物がしっかり意見できれば、一時の感情に任せた指示を出さなかったかもしれない。

 また、8月25日のDeNA戦(バンテリンドーム)では左腕の近藤廉が炎上したのにも関わらず続投となり、「晒し投げ」として批判の声も上がった。近藤のメンタルが心配される中、相手投手のバウアーが「近藤投手、落ち込まないで、続けるんだ」とフォロー。こういったケアができる人物がチーム内にいれば、立浪監督が孤立することも少なくなるはずだ。

「立浪監督の経験や実績が素晴らしいのは間違いなく、譲れない部分もあるはず。だから各分野における知識があるコーチ、スタッフが必要。立浪監督が納得できるものを提供できれば、良い方向へ向かうのではないか」(中日OB)

 そこで、新ヘッドコーチとして名前が挙がったのがPL学園の2学年先輩にあたる清原和博氏。歴代5位の通算525本塁打を記録した清原氏は、立浪監督就任後から2年続けて春季キャンプを訪れ、“臨時コーチ”も務めている。立浪監督にも意見できる人物として白羽の矢が立った形だ。

「悪いアイディアではない。しかし天才打者で絶対的な自信がある方だけに(選手とのコミュニケーションで立浪監督と同じような)問題も起こりかねない。清原氏以外にも各分野の専門家で意見できる人を呼ぶ必要がある。例えば同じPL学園ラインで野球をよく知っている宮本慎也氏などが入閣すれば面白いと思う」(在京テレビ局スポーツ担当)

「投手陣はリーグ上位クラスの実力者が揃うのに最下位となってしまうのは打線が弱過ぎるから。『打つ方は必ず何とかします』と立浪監督も語ったが変化の兆しは見えない。今後に向けて攻撃面で確固たる理論、指導法を持ったコーチを複数人用意するのも絶対条件。清原氏招聘も含め、やれることは全てやるべき」(中日担当記者)

 投手陣は先発の柳裕也、高橋宏斗、小笠原慎之介、抑えのライデル・マルティネスなど好投手がそろっている。打線の援護が増えてくれば自然と勝ち星が増えてくるのは明白なため、そこの改善を任せられる人物がチームには必要だ。

「野手陣にも明るい未来は見えつつある。他球団からの加入組である細川成也、宇佐見真吾は才能を発揮しており、若手の岡林勇希や石川昂弥も育っている。そういう選手が今後も成長して前進できるためにも、立浪監督を文字通りサポートできる人物が必要」(中日OB)

「こうなったら思い切って現職の和田一浩、森野将彦という2人に加え、実績ある人物をさらに打撃コーチとして呼ぶなど思い切ったことをやっても良いのでは。選手個々が自分に最適の打撃を選ぶ方式にするのもありかもしれない」(中日担当記者)

 昨オフに現役ドラフトで加入した細川は和田コーチの打撃理論を取り入れたことが打撃開眼につながった。コーチと選手の関係は打撃スタイルなどを含め“相性”もあるため、さらに打撃の専門家を呼ぶというのも選手の成長を促すかもしれない。

 清原氏のコーチ就任については、加藤球団代表が「そのような事実はありません」と否定。しかし額面通りに受け止める関係者は皆無だったようだ。「今のままではダメ」というのは中日関係者の総意。“劇薬”を入れてでも変化が必要な時期に来ている。

 暗黒時代に突入している中日にとって過去の常識に捉われている場合ではない。今オフはコーチ陣の人選にも注目したい。「いろんなことあるが、もう1度必死にやります」(立浪監督)と語った指揮官3年目、勝負は既に始まっている。