漫画家&TVウォッチャーのカトリーヌあやこ氏が、「六本木クラス」(テレビ朝日系 木曜21:00〜)をウォッチした。

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 配信で大ヒットした韓国ドラマ「梨泰院(イテウォン)クラス」の日本オリジナル版。多くの外国人が集うソウルの繁華街・梨泰院は、六本木に置き換えられた。

 まぁテレビ朝日だし、六本木。これがフジテレビなら「お台場クラス」、日本テレビなら「汐留クラス」、TBSなら「赤坂サカス」だったはず。

 一度は絶望のどん底に落ちた主人公・宮部新(あらた・竹内涼真)が、亡き父親の夢でもあった居酒屋を立ち上げ、大手飲食企業・長屋ホールディングスに挑む愛と復讐(ふくしゅう)の物語。

 しかしこの壮大な復讐譚(たん)、まず竹内のヘアスタイルに「ん?」となる。ドラマ内ではさかんに「イガグリ頭」と言われているが、いやどう見ても「コボちゃん」。

 韓国版のイガグリ頭はまったく違和感ないけれど、日本に降臨した瞬間、これ「コボちゃん」。でね、コボちゃんが長屋父(香川照之)&長屋息子(早乙女太一)から、ひどい仕打ちを受けるわけ。

 もはや土下座強要のプロ・香川照之からやっぱり土下座を強いられ、早乙女には父親をひき逃げされるドロドロの展開。

 怒りに燃えたコボちゃんは病院に向かう。と、そこには土砂降りの雨の中、庭のパラソルの下で漫画を読みつつ、バナナとポテチのおやつタイムを楽しむ早乙女の姿が! いや家の中でやれ。

 このドラマ、血のたぎるようなハラハラドキドキ場面にコント風味ぶっ込みがち。平手友梨奈演じる葵が、竹内と遭遇する場面もそうだ。

 急ブレーキをかけたバイクからめっちゃ雑なCGで吹っ飛ばされる葵。空中でバタバタバタ、擬音で言うならボンヨヨヨ〜ン。ギャグなのか、「コボちゃん」だけにギャグ漫画なのか。

 本作に限らず韓国ドラマを日本でリメイクした場合、どうにも感じるパワー不足というか辛み成分不足。本来ならグツグツ煮えたぎるスンドゥブチゲのような復讐心も、ほっこりお味噌汁状態。

 アツアツの石焼きビビンバ的恋の丁々発止も、土鍋でことことおかゆさん煮えましたな空気感。

 ただこのドラマで唯一、香川照之だけはコチュジャン成分たっぷりだ。息子に覚悟を問い、「鶏の首をひねれ!」と迫る場面。

 その顔面の圧迫に、思わず鶏もコケーッと絶叫。これですよ、この圧倒的な激辛モード。役者界の蒙古タンメン中本ってことで今後もよろしく。

カトリーヌあやこ/漫画家&TVウォッチャー。「週刊ザテレビジョン」でイラストコラム「すちゃらかTV!」を連載中。著書にフィギュアスケートルポ漫画「フィギュアおばかさん」(新書館)など

※週刊朝日  2022年8月12日号