日赤に初出社した愛子さま。イヤリングもネックレスもつけず、メイクも控えめ。装いから強い意志を感じるとファッションの専門家=2024年4月1日、東京都

 天皇、皇后両陛下の長女、愛子さまの社会人としての生活がスタートした。4月1日の入社式で見せた、紺色のシンプルなスーツ。そしてアクセサリーもつけず、お化粧も極力抑えた姿は、愛子さまの覚悟がにじむものだったとファッションの専門家は指摘する。

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「頑張って行ってらっしゃい」

 4月1日、陛下と雅子さまは、日赤の入社式のために初出勤する愛子さまに、こう声をかけたという。

 この日、本社では辞令の交付式と、新入社員らを対象とした説明会があった。

 交付式では清家篤社長が、

「敬宮(としのみや)愛子」

 と名前を読み上げ、配属先である青少年・ボランティア課への通知書を愛子さまに渡した。
 

 愛子さまがお召しだったフレッシャーズスーツは、紺色のすっきりとしたスーツに白のシャツ、黒のパンプスを合わせた清潔感のある装いだった。

 公務やご静養時に身に着けることも多いパールなどのイヤリングや、ネックレスの装飾品もない。卒業式では薄く塗っていたマニキュアも落とすなど、シンプルな装いに徹していた。

 髪形も、横の髪を少しねじってアレンジしているようにも見えるが、すっきりとひとつに結んでいた。

 何より公務や卒業式では、ナチュラルメイクながらも眉やアイラインもしっかりと描かれ、淡いピンク系のリップやチークがよくお似合いだったが、入社式では眉は整えてはいるものの、アイメイクやファンデーション、リップもかなり薄く抑えられ、「素顔」に近いお化粧だった。
 

第1ボタンを開けた、ほどよい着くずし加減が絶妙の愛子さま=2024年4月1日、東京都の日赤本社

■第1ボタンを開けた愛子さま

 ファッションジャーナリストの宮田理江さんによれば、近年はオーソドックスではない服装を選ぶ新社会人も少なくないという。

 しかし、愛子さまが入社したのは、自然災害や紛争地での人道援助や救援活動を行う組織だ。

 人間の生命や尊厳を守る仲間との場にふさわしい服装として、華やかな装飾やメイクを避けたのかもしれない。

「飾らない愛子さまの装いは、かえって好ましい印象を受けます。髪形も、無造作のように見えるものの、集中して仕事にのぞむ気構えさえ感じます」(宮田さん)
 

 優等生のようなフレッシャーズスーツだが、愛子さまらしいアレンジものぞかせていた。

 宮田さんは、愛子さまが白シャツの第1ボタンを開けたことで、全体のバランスが整ったと話す。

「もし、愛子さまが第1ボタンまできっちりと留めていたら、ぎこちなさが目立ったでしょう。しかし、襟元をひとつ外したのはよいご判断です」

 気負い感がほどよく抜けた着こなしになったという。
 

■広い歩幅で歩かれる愛子さま

 そして、一見して飾りのないように見えても、そこは内親王がお召しのスーツ。仕立てと品の良さがおのずと伝わってくる。

 長年パリコレで取材を続けたファッション評論家の石原裕子さんは、シンプルであっても手の込んだ仕立てだと話す。

「光沢のある上質な生地にジャケットの襟などには手縫いのステッチが丁寧に施され、仕立てられたスーツです。ステッチによってデザインにあたたかみが増し、愛子さまの穏やかな雰囲気によくなじんでいらっしゃる」
 

愛子さまの歩幅は広く、若々しさを感じる立ち振る舞い=2024年4月1日、東京都の日赤本社

 スカートも、これまではフレアなどふんわりとしたデザインが多かったが、入社式ではボックスプリーツで、落ち着いた印象だ。

「入社式の映像を拝見しますと、愛子さまはヒールの低いパンプスで歩幅も広い。こうしたお姿からは、特別扱いは必要ない、一刻も早く先輩方の役に立ちたい、といったお心構えや覚悟が伝わってくるように感じます」(石原さん)

 愛子さまは、常勤の嘱託職員としての勤務に加え、単独公務もスタート。4月10日には東京・渋谷区の明治神宮を、おひとりで参拝する予定だ。明治天皇の后である昭憲皇太后が亡くなって110年の節目に合わせたものだ。

 これまで、春風のようなほほ笑みをみせてくれた愛子さま。社会人と公務のご経験を積むことで、凛とした美しさもみせてくれそうだ。(AERA dot.編集部・永井貴子)