撮影:馬場岳人(朝日新聞出版写真映像部)

「食べたことのないものを口にするって、ワクワクするのよ」――102歳の現役美容部員、堀野智子さんの“元気の源”は、尽きることのない「食への好奇心」。レンコン型のサブレを見て歓声を上げ、珍しい食材をおすそ分けしてもらえば、その場でみんなと味見する。
 誰かに「初めての味」をふるまうのも大好き。戦中・戦後を経験した世代だからこそ、「食べること」「食べさせること」への思いが深い。そんな堀野さんの“食いしん坊”に見えて実は“探究心”に満ちた日常から、人生を楽しむ秘訣が見えてきます。堀野さんの最新刊『102歳、今より元気に美しく』(朝日新聞出版)から一部を抜粋・加筆再編集して公開します。

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――堀野さんは、食べ物に対する探究心が強いと伺いました。日々の食卓やおもてなしで大切にしていることを教えてください。

 食べたことのないものや珍しいものを食べてみたいという気持ちは常にあります。

 知らないもの、接したことがないものに触れるって、何かワクワクしませんか?

 自分がこんなふうなので、お客さんが来たとき、「食べたことがない」というものを食べさせたいと思ってしまいます。

 だからお客さんが来ると、何度も冷蔵庫を開けてはせっせと中のものを出し、食べるのをすすめます。

 食べ物に不自由した世代なので、「食べさせること」が最大のおもてなしだと心のどこかで思っているのかもしれません。

 私自身が珍しいものをもらうのもすごくうれしいです。

 この間は、茨城県の人からレンコンの形をしたサブレをもらいました。

「レンコン形のサブレ」と聞いただけで見てみたくてたまらなくなり、その場で開けて居合わせた人みんなで食べました。

 そのときに「堀野さん、食に対する好奇心が強いんですね」と言われ、「ああ、そうなんだ」と初めて気づきました。

 自分ではただの食いしん坊だと思っていたのですが、なるほど、言われてみれば「好奇心が強い」と言うほうがしっくりくるかもしれませんね。

 これまでどれほどたくさんの「初めての味」に接してきたことでしょう。

 あまりに多すぎて逆に思い出すのが難しいですが、それこそが幸せに生きてこられた証のような気がします。

 何度も同じことを繰り返すと「老いの繰り言」と言われそうですが、何かを食べたとき「おいしい」と感じられることって、すごく大事なことだと思うのです。