安倍晋三首相の顔色が冴えない。いくら「印象操作」と連呼しても政権への逆風はやまず、国会の閉会中審査に引っ張り出された。総裁派閥・細田派からでさえ、“裏切り”が出るなど、批判の嵐なのだ。今や“独りぼっち”になりつつある宰相に残された道とは──。



「もはや安倍一強ではなく、安倍独りぼっち状態」

 総裁派閥である細田派議員は安倍晋三首相の孤立無援に陥った現状をこう評した。

 南スーダンの国連平和維持活動(PKO)に派遣された陸自部隊の日報隠蔽(いんぺい)関与の疑いなど一連の不祥事の責任を取って首相の“秘蔵っ子”稲田朋美防衛相は28日、やっと辞任。陸自内部からの“クーデター”を抑えられず、事実上の“更迭”だった。

 防衛省関係者は安倍首相が稲田氏をえこ贔屓(ひいき)したエピソードをこう語る。

「防衛問題の知識が乏しい稲田さんは2月に来日したマティス米国防長官と会談した際に嫌われてしまったと思い込み、もう駄目と思ったそうです。同じころ、日報問題も噴き出したので、稲田さんは首相に『次の内閣改造で防衛相は辞めさせてください』と申し入れたら、首相は『味方を増やしてください』と諭したそうです」

 だが、その後も稲田氏には森友問題での虚偽答弁、都議選での憲法違反発言が続き、防衛省内部から日報隠蔽疑惑まで暴露される始末。

「麻生財務相に『更迭』を強く迫られ、首相も承諾したそうです。それでも稲田さんが辞任を否定し続けたのは、閉会中審査で集中砲火を浴びる首相の“弾除け”に少しでもなれば、という気持ちからでしょうね」(自民党関係者)

 官邸で安倍首相と最近、面会した細田派最高顧問の衛藤征士郎・元衆院副議長は本誌にこう語る。

「安倍首相は『防衛省内の大掃除をしないといけないな』と話していました」

 だが、時すでに遅し。細田派からも「安倍政権は持って来年9月の総裁選まで。3選はよほどの奇跡が起こらない限りない」(閣僚経験者)。

 同派中堅の衆院議員もこう語る。

「側近の下村博文都連会長は都議選惨敗がわかっていながら、最終日に秋葉原で安倍さんを演説に立たせた。昨年の都知事選のときは大敗がわかっていたから、安倍さんを表に一切、出さなかったのに。完全な責任逃れで安倍さんへの“裏切り”行為。細田派を受け継ぐ会長候補として情けない」

 身内まで離反し、孤立無援状態なのだ。

「16日には東京・富ケ谷の自宅に昔からの友人である荒井広幸元参院議員(郵政選挙で自民党を離党)を呼んで母、洋子さんと一緒に3時間ほど食事していました。だが、安倍さんは外遊疲れ、支持率低下で元気がなかったようです。対照的に昭恵夫人は元気に出歩いているようです」(前出の自民党関係者)

 政府関係者によると、安倍首相は求心力を取り戻すため、藁(わら)にもすがる思いで内閣改造を行うという。

 しかし、菅義偉官房長官、麻生太郎財務相のほか、二階俊博幹事長は留任。ポスト安倍の有力候補、岸田文雄外相と20日夜、珍しく2人きりで会談し、必死で留任を説き伏せた。

「岸田氏は『閣外に出たい』と訴えたが、岸田派からの入閣増を条件に続投を確約させた。稲田防衛相の後任には小野寺五典氏など元防衛相経験者を起用するそうです。人気が高い小泉進次郎衆院議員は無派閥ながら異例の官房副長官起用を打診している。ウルトラCを狙って政権と距離を置く野田聖子・元総務会長を厚生労働相か五輪担当相、麻生氏が強く推す甘利明・前経済財政担当相を、9月から始まる日米経済対話の要衝的な重要ポストを党に新たに設けて充てるか、幹事長代行抜てきの方針で調整中。26%台に落ち込んだ支持率が40%台に乗ればいいとの思惑です」(政府関係者)

 改造後に行う都連会長の選考では小池百合子都知事と近い石破茂・元幹事長側近の鴨下一郎・元環境相を充て、発言に過激さを増す石破氏をけん制する狙いという。(本誌 村上新太郎)

※週刊朝日  2017年8月4日号