安倍政権の土台が揺らぐ中、東京都議会選、仙台市長選などで”地方の乱”が表面化しつつある。その鍵を握るのが共産党だ。

 東京都議選で前回を2議席上回る19議席を獲得。都内であった「日本共産党創立95周年記念講演会」(7月19日)で演説した志位和夫委員長の鼻息は荒かった。

「これまでは共産党が躍進しても、自民党も勝っていた。今度は共産党が躍進して、自民党は大敗したことに格別の喜びがある。目黒の高級住宅街で支持を訴えた候補は、ベンツの車中から『必ず入れる』と言われた。これまでまったく反応がなかった中高年のサラリーマン層が変化した」

 都議選で共産党候補の応援演説に立った二見伸明・元公明党副委員長が語る。

「2013年の特定秘密保護法国会のころから市民と共闘するようになり、唯我独尊ではダメだと、ソフト路線に変化してきたと感じる。民進党がだらしない中、安倍政権への不満の受け皿になっているのでしょう」

 今後、地方では重要な選挙が続く。7月23日投開票の仙台市長選では民進、共産など野党4党が支援する新人候補が自民、公明両党が支持した候補を破った。30日投開票の横浜市長選、8月の茨城県知事選、10月の愛媛3区の衆院補選なども控えるが、敗戦が続けば、安倍政権はいよいよ追い込まれる。自民党幹部がこう嘆息する。

「(敗北した)仙台市長選では組織固めに徹したが、相手方にネガティブキャンペーンを張られ、暗いムードだった。自民の推す候補は小池百合子都知事のようなガラス張りの宣伝車を使っているが、57歳ですぐに疲れて座ってしまうのが丸見えで、印象が悪過ぎた。自民党は地元でも相当、評判が悪いと肌で感じた」

 10月に控える愛媛3区の衆院補選についても、こんな声がある。

「自民候補の苦戦が予測されている。『ゲス不倫』問題で離党した中川俊直衆院議員を辞職させ、ダブル選にして矛先をそらそうという声もある」(自民党議員)

 だが、野党側も順風満帆ではない。一番の問題は、民進党の姿勢が定まらないことだ。

 横浜市長選では、民進党は現職の林文子市長を支持する勢力と共産党などが推す伊藤大貴氏を支援する勢力に分裂。惨敗した都議選の総括も終わらず、党内には蓮舫代表の辞任を求める声や、「解党しかない」との見方もくすぶり続ける。前出の二見氏も「民進党は一度、バラバラになって出直したほうがいい」と語る。

 一方、野党共闘を促す「市民連合」の活動にかかわってきた上智大学の中野晃一教授はこう語る。

「安倍政権を追い詰めている今は、解党や党首交代の議論をすべきときではありません。野党共闘は地域ごとのばらつきはあるが、全体としては順調に話し合いが進んでいる。長期的には民進党の立ち位置はよりリベラルになるべきだと思いますが、まずは安倍政権を退陣に追い込んでからです」

(本誌・小泉耕平)

※週刊朝日  2017年8月4日号