前内閣の“尻拭い内閣”との陰口も聞こえてくるが、その実力はどうか。政治ジャーナリストの角谷浩一氏と、政治アナリストの伊藤惇夫氏に新内閣の顔ぶれを採点してもらった。



 やはり、政治理念で距離のある野田聖子総務相と、河野太郎外相の登用が新内閣の目玉だろう。

 角谷氏はこう評価する。

「野田氏、河野氏ら畑のちがう人を入閣させて挙党態勢を取る努力をしたことはなかなかの配牌で、一定の評価ができる」

 伊藤氏もこう言う。

「お友達内閣ではない、えこひいき人事ではないというアピールは、いちおう表向き成功している」

 しかし、麻生太郎財務相や菅義偉官房長官など「骨格」人事を維持し、7人の閣僚経験者を再起用。初入閣は6人にとどまり、新内閣のインパクトや新鮮味は、いま一つといったところか。

「抜擢と言えるのは当選3回の斎藤健農水相くらい。党内に人材がいないことが露呈した。安倍首相は教育費無償化で『人づくり革命』などと言うが、本当に人づくりが必要なのは自民党ではないか」(角谷氏)

 一方、党人事で前官房副長官の萩生田光一氏を幹事長代行で温存したことに、伊藤氏は疑問の目を向ける。

「加計学園問題の疑惑の中心にいた人物が、また党の要職に就く。前任者はやはりお友達の下村(博文)さんだったし、本質的にはあまり変わっていない」

 当面は閉会中審査や秋の臨時国会が焦点となるが、角谷氏は、不祥事を引き継ぐ形になる小野寺五典防衛相、林芳正文科相、梶山弘志地方創生相の役割が重要になると指摘する。

「日報問題や加計学園問題で『前任者のことなのでわからない』というような答弁で逃げるようならば、さらに支持率は下落するだろう。新大臣がソツなく答弁しようとしても、官邸が文書など情報を出さないと決めている以上は何も変わらない」
“菅人事”も際立つ。故・梶山静六元官房長官を尊敬する菅官房長官が長男・弘志氏を大臣に推薦したとされる。また国家公安委員長に抜擢された小此木八郎氏も菅官房長官が長らく秘書を務めた彦三郎氏の三男だ。

「官邸の顔色ばかり見て何もできないのでは……」

 だが、最も交代すべきだったのは、首相自身。伊藤氏がこう批判する。
「安倍内閣の支持率急落危機は、大臣の任命責任も含めてほとんどが安倍さん自身の問題が要因だ。中身を代えても表紙が代わらなければ評価できない。文科省と防衛省で内部文書が流出するなど官僚の反乱が起き、霞が関へのグリップ力はかなり緩んできている」

 新内閣発足時に政権中枢が神経を尖らせるのが、スキャンダル危機だ。さっそく新閣僚の一人が約20年前、売春防止法違反などで摘発されたパーティーに参加していたのではないかとの疑惑が取り沙汰されている。

「女性関係など複数の閣僚にスキャンダル情報が流れている」(角谷氏)

 多くの思惑とスネに傷を抱えながら多難の船出のようだ。(本誌・亀井洋志、小泉耕平)

※週刊朝日  2017年8月18−25号