政治団体「日本ファーストの会」の設立を8月7日、ぶち上げた若狭勝衆院議員に対し、小池百合子東京都知事は「彼はいいモノ、掴んだと思っているでしょうね」という意味ありげな感想を漏らしたという。

 安倍一強が瓦解した今、政界再編含みで与野党から熱っ視線を浴びる小池氏だけが、取り巻く環境は複雑だ。 小池氏側近はこう本音をぶちまける。

「小池さんと若狭さんは別物です。小池さんは若狭さんの政治塾『輝照塾』に頼まれれば、講師にも行くし、総選挙になれば応援に入ることは厭わないが、それだけのこと。国政への復帰は全く考えていませんよ。まずは都政、オリンピックです。2期まではやらないといけない。そのあとの政局を見て考えています。『私はOBでいいわ』と言っていますから」
 
 若狭氏が連携を期待する新党結成も突き放し気味だという。

「小池さんは、若狭さんと都民ファーストとの間に明確な線引きをしたいのが本音です。若狭さんの独走だと複雑な心境なんです。再編を後押しする流れが出来ればいいと、当面は泳がせるんでしょう。小池さんが絡んでいたら、日本ファースト、輝照塾なんていう名前にはなりません」(都ファ関係者)。

 一方、小池氏の“意中の人”は、民進党代表選に出馬している前原誠司元外相だという。

「前原氏が民進党を解党したら、小池氏は前原さんにつくでしょう。そこに民進をすでに離党した細野豪志元環境相や長島昭久元防衛副大臣らがくっつく。若狭さんに国政政党を作って展開する資金力がないことが分かっているが、民進にはありますから」(旧民主党閣僚経験者)。

 小池氏と前原氏は共に細川護煕元首相が創設した日本新党から出馬し、1993年7月の衆院選で初当選したという縁がある。「小池氏が今後、国政進出を目指すとしたら、日本新党への原点回帰であり、トップは前原さんしかいない」(前出の都ファ関係者)。

 かつて自民党総務会長時代に「脱原発」に言及した小池氏と「最低限、原発ゼロで共産党との共闘に舵を切った前原さんがリンクしたら、自民党は吹っ飛びます」(同)。

 しかし、まずは当面の課題は都政運営だ。

 都議選の圧勝で盤石にみえる都議会でも、火種が山積している。小池シンパとみられ、都知事就任以降、小池氏を支えた音喜多駿や上田令子ら3都議は都議会の主要ポストにいずれも就かず、党や会派の役員からも外れた。

「小池さんが一番頼りにしている野田数・都民ファースト代表は、元みんなの党出身の音喜多さんや民進などからの乗り換え再選組を『信用出来ない』と嫌っています。音喜多氏の不満は爆発寸前です。さらに民進、自民からの再選組も都ファが打ち出した公用車廃止や政務調査費の使途制限強化などは面白くないんです」(都政関係者)。

 さらには都議会の小池独裁化が進むことが火種になる可能性が大だ。

「小池さんが決断した築地の跡地問題は都ファ内部でも政策プロセスが確立してない。乗り換え再選組ともコンセンサスもできていないのに、完全に無視している。小池さんのやり方は自分と政策ブレーンとで全部、決めてしまい、(当選した)55人の手下を従えるという独裁者そのもの。五輪や豊洲という地雷原がまだあるので、そう一足飛びにはいきません。小池氏が側近と独裁政治をやれるのはせいぜい五輪までではないか。都民はドライに見ていますから」(同)

 安倍首相が“お友だち優遇”で失速した同じ轍を踏まないことを祈るばかりだ。(本誌・村上新太郎)

※週刊朝日オンライン限定記事