日本ファーストの会が年内の国政政党化を目指し、民進党が新代表の下、再出発をする。今のままの自民党で選挙に勝てるのか。党内の動きが騒がしくなっている。

*  *  *
 日本経済新聞社とテレビ東京が8月25日から27日に行った世論調査では、内閣支持率は内閣改造後の調査からさらに4ポイント上がり、46%まで上昇。安倍政権への風当たりが弱まったように見えるが、その数字を額面通りに受け取る人は永田町にはいない。政治ジャーナリストの角谷浩一さんはこう話す。

「内閣改造後はご祝儀相場。国会閉会中は野党の活動が見えず、与党の支持率は上がる。加計学園問題を始め、納得のいく説明が閉会中審査でも行われておらず、秋の臨時国会が始まれば状況はまた変わる。衆議院議員の任期満了が来年に迫るなか、安倍政権に不安を持つ議員の一部に安倍離れが起きている」

●自民党は相当深刻

 そんな動きの一つだろう。自民党の議員有志が8月25日、安倍政権に批判的な有識者を講師に招く勉強会「日本の明日を創る会」を発足させ、国会内で初会合を開いた。衆参両院議員19人、代理を含めると約30人が出席した。講師に招かれた政治評論家の森田実さんは「自民党の現状は相当深刻」「(憲法改正は)国民投票で間違いなく否決になる」などと苦言を呈した。

「反安倍」とも見られかねない集まりだが、呼びかけ人の中心である平沢勝栄衆議院議員(二階派)は、こう反論した。

「二階俊博幹事長に報告したうえで、勉強会を立ち上げ、会合もすべてのマスコミに公開して行っている。反安倍でも、安倍降ろしが目的でもない」

 かつて平沢氏は東京大学の学生時代、安倍首相の家庭教師を務めたこともある。入閣待機組の有望株ながら、今回の内閣改造で処遇されなかったが……。

「都議選の大惨敗を受け、東京の議員中心に動き始めた。内閣改造の後に動き始めたわけではない」と平沢氏は否定し、こう言葉を継いだ。

「次の選挙で日本ファーストが多くの候補者を立ててくるのは間違いない。場合によっては日本ファーストと民進党の連携もありうる。いまの自民党が太刀打ちできるのか」

 だからこそ、現政権に批判的な識者の話を聞くことで国民目線に戻り、党の立て直しを図りたいと言う。

「民主主義の健全な姿は自民党に対峙する勢力があることだ。それがないから、自民党が傲慢になり、弊害も出てきた。現時点では自民党に代わる勢力があるとは思えないが、政権交代が起きれば混乱も生む。国民の信頼を取り戻し、自民党が必ず勝たなければならない」(平沢氏)

●党内に新たな受け皿

 日本の明日を創る会に名前を連ねる後藤田正純衆院議員(石破派)は、勉強会について「反安倍ではなく脱安倍」と位置付け、こう話した。

「政治には緊張感が必要だ。安倍政権への検証が必要だが、自民党執行部は意見を言わず、一部の大手新聞は礼賛ばかりで、野党は批判だけに終始する。国民の受け皿がないなら、たとえ執行部に嫌われてでも、自民党内につくる必要がある。例えばデフレ脱却は本当に消費者目線なのかなど、政策の中身もきちんと議論していかなければならない」

 民進党の新代表には前原誠司氏が選ばれた。今後、どのような野党共闘が進むかに注目が集まるが、目下、10月22日には三つの衆院補選が控えている。前出の角谷さんは言う。

「補選がある3小選挙区はいずれも自民現職が亡くなり、自民にとって『弔い選挙』。志半ばのものを引き継ぐわけで、支援者の力の入れ方も違う。この選挙でも自民が惨敗するようなら、安倍離れの動きが一層加速することは間違いありません」

 もっとも、9月末に召集される臨時国会では、いまだ「丁寧な説明」(安倍首相)がない加計学園の獣医学部新設問題などで野党の追及があるだろう。その対応次第では、試金石となる補選を前に政権の求心力が失われる可能性もある。(編集部・澤田晃宏)

※AERA 2017年9月11日