首都・東京の運命を決める都知事選(6月18日告示、7月5日投開票)が目前に迫り、現職の小池百合子知事が2期目の当選を果たすのかに注目が集まっている。



 6月15日には、れいわ新撰組の山本太郎代表が“後出しジャンケン”で国会内で記者会見を開き、立候補を表明。東京五輪・パラリンピックの中止や全都民への10万円給付などの公約を掲げた。

 現職の小池氏については、独自調査の結果などから「圧倒的に強い」と認めつつも、「当然、勝つつもりでやりますよ。最後までわからないじゃない」と気を吐いた。

 山本氏の出馬表明で俄然、盛り上がりを増した都知事選だが、2期目を目指す小池氏にとって元来、最大の「懸念材料」だったのが、国政与党である自民党の動向だ。しかし今回、自民党は早々に独自候補の擁立を断念し、6月12日には、党本部で自主投票の方針が決まった。

 背景には、二階俊博幹事長と小池氏の「蜜月」関係があると言われる。実際、小池氏も12日の出馬会見で二階氏について「先輩として学ぶところが多い」と持ち上げ、こう語った。

「今回推薦はいただかないかたちですが、しっかりと応援するという声もいただいております。それは私にとっては、都政を進めるという意味では非常に心強いと思っております」

 これに先立つ6月9日、東京都港区赤坂の料亭「津やま」に二階氏、小泉純一郎氏、山崎拓氏、武部勤氏、中川秀直氏ら自民党の幹事長経験者らが集まった(上の写真)。同会には以前、小池氏も参加しており、今回も会の途中で一人ひとりが電話で小池氏と会話したという。散会後、出席者の一人を直撃すると「私らはみんな小池さんの応援団ですよ」と語った。

 会に参加した山崎氏は、本誌の取材にこう答える。

「もともと4月に集まる予定だったが、コロナで延びていた。小池さんはコロナ対応があるので出席が難しいことはわかっていたので、電話で『都知事選頑張ってね』とみんなで声をかけたんです」

 自民党の重鎮たちには励まされたものの、小池氏は今回、政党推薦を求めない無所属での出馬を表明。水面下では複雑な“駆け引き”があったようだ。

「二階氏は自民党の推薦を受けるよう小池氏を説得しようとしたが、小池氏は断ったようだ。小池氏からしたら、経歴詐称疑惑で都議会自民党に攻められたので嫌気がさしたのではないか。山本太郎氏が出てきた時に『自民対れいわ』の構図にされたくないという計算があったとも考えられる」(自民党関係者)

 別の自民党関係者は「今回は二階氏が小池氏の手のひらの上で転がされた」と言い、こう解説する。

「二階さんは党内で多少強引ながら小池氏を推薦するプロセスを踏み、安倍晋三首相も下村博文選対委員長もOKを出していた。それなのに、小池氏は最後になって『自民党に4年間いじめられてきたから推薦願は出せない』と断ったそうだ。二階幹事長の側近たちは激怒しているらしいですよ。4年間ずっと都連と対抗してまで小池氏を応援してきたのに、平気で裏切ったことになるんですからね」

 この関係者によれば、2週間ほど前には独自候補擁立を目指す都議会自民党の幹部が官邸で安倍首相と食事をするなどして、矛を収めるよう説得されていたという。こうして党内が固まったかと思いきや、告示直前のタイミングでハシゴを外された自民党は独自候補を立てることが難しくなってしまった。

「小池氏は自民と距離を保ちつつ、対抗馬を封印することに成功した。一枚上手でしたね。自民党は自主投票になりましたが、都議会自民の中にも小池氏を応援する議員はいて、反小池、非小池、親小池でだいたい3割ずつくらい。都連の半数は小池を応援するでしょう。小池氏はそれを読んでいるわけです」(自民党都連関係者)

 安倍首相や二階幹事長をも手玉にとった「女帝」。その再選を「最強の挑戦者」、山本太郎氏は阻むことはできるのか?7月5日の投開票の結果から目が離せなくなってきた。(本誌・上田耕司)

※週刊朝日2020年6月26日号より加筆