作家の室井佑月氏は、政府を深く追及しないメディアへ苦言を呈する。



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 6月23日の東京新聞(TOKYO Web)によれば、「ボルトン前米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は二十三日出版の回顧録で、昨年七月に訪日した際、トランプ大統領が在日米軍の駐留経費負担として現在の四倍にあたる年間約八十億ドル(約八千五百億円)を求めていると、日本政府高官に伝えたと証言した」らしい。トランプ氏は「米軍を撤収させると脅せ」と指示したとか。

 菅義偉官房長官は22日の会見でこのことについて、「現時点で、新たな交渉は日米間では行われていない」と語ったが、記事にはこう書かれていた。

「米側が日本に四倍増を求めていたことは、これまでも明らかになっているが、日本政府は公式には認めていなかった。支出の根拠となる特別協定は来年三月末に期限切れとなり、日本政府関係者は『交渉が本格化するのは十一月の大統領選後になる』との見通しを示している」だって。

 今の4倍払えっていわれていることは明らか? 特別協定の期限切れは来年の3月末? 知らないよ。

 今でも日本は、在日米軍に対し、他国と比べてべらぼうな金額を払っている。メディアはこんな大事なことをさらっと流しすぎでしょう? なぜ、政府にきちんと真実を問いたださないのか。だから、噂(うわさ)程度の話にされてしまう。

 最近、今年の秋にも解散総選挙が行われるといわれだしている。それまで政府はあたしたちにすっとぼけていたいのかもしれないが、メディアがそれに協力してどうする? こういうことがあたしたちの投票の判断材料になるのだ。選挙になれば公平に報道っていうなんだかよくわからない理屈から、報道規制がされてしまうしな。

 そういえば、河野太郎防衛相が陸上配備型迎撃ミサイルシステム、イージス・アショアの配備計画を停止すると発表した。6月16日の朝日新聞デジタルには「陸上イージス、急転直下の転換 政権幹部『殿のご乱心』」という記事が載った。そこにはこう書かれていた。「北朝鮮のミサイル開発という脅威のなか、米国による武器購入圧力もあって、安倍政権が『導入ありき』で進めていた」と。

 圧力? さらっと書くねぇ。これもきちんと問いただすべきだ。思い返せば、2017年2月に日米首脳会談、メディアの安倍・トランプ蜜月報道。6月くらいから北朝鮮のミサイル脅威報道。9月に、そのことに絡めて「国難突破解散」お祭り報道。そして、選挙からつづけて、安倍首相やその応援団がテレビなどに出まくって、イージス・アショアをこの国に絶対に必要なものであるといいまくり、12月にイージス・アショアの導入を閣議決定。

 この国のメディアって、この国の政治家が米国に脅され、あたしたちの金をすんなり渡すことにしたことの、言い訳をするための媒体なのか?

 今からでも遅くない。あたしたちの側に立て。

※週刊朝日  2020年7月10日号