コロナ対策と同時進行で、橋下徹氏がかつて挫折した大阪都構想の準備も着々と進んでいる。



 今年11月1日に予定される大阪都構想の住民投票では、前回反対した自民と公明は賛成に回る見通しだ。

「自民党の大阪府連、二階(俊博)幹事長はこれまで頑なに維新の都構想を否定し、対立してきました。しかし、維新は大阪では無敵。菅(義偉)官房長官の説得もあり、今回は自民、公明が折れた。閣僚ポストを維新に約束すれば、連立に乗ってくるだろう」(自民党幹部)

 ただ、連立がまとまるまでには、越えなければならないハードルも残されている。まずは次の解散総選挙での選挙区調整だ。

 吉村洋文大阪府知事は自民・公明との選挙協力を否定しているが、過去の選挙では維新と公明は選挙区調整をしたこともある。17年10月の衆院選では、大阪都構想の住民投票実施に賛成することと引き換えに、維新は関西の6選挙区で公明党に対抗馬を立てなかった。次の総選挙でどのような選挙協力をするかが連立入りの試金石となる。維新の国会議員がこう言う。

「自民、公明との連立に対しては慎重な意見も多い。だが、幹部は閣僚ポストを割り振ってもらって与党になることは頭の中に入れている。大阪都構想が実現したら初代知事は吉村さんに任せて、松井(一郎)さんが国政に出るかもしれない」

 自・公・維の連立構想は、安倍晋三首相の後継者選びにも影響を与えている。『小池百合子の大義と共感』の著者大下英治氏がこう話す。

「名前が挙がっている次の首相候補をタイプで分けると、平時の岸田文雄(政調会長)、乱世の石破茂(元幹事長)、大乱世の菅義偉。今のコロナ状況は、およそ平時ではない。安倍首相は3人の中では支持率が最も高い石破さんだけは後継にしたくないと考えている。大乱世の今、維新と公明の両方とつながりのある菅さんが浮上してくる。菅さんが吉村さんとの蜜月をアピールするのも、選挙後の政権の枠組みを考えての行動とも読める。ポスト安倍のキーマンである二階さんも、官房長官を務めてきた菅さんのしたたかな手腕を十二分に認めている。ポスト安倍の最有力に躍り出た」

 しかし、このシナリオは絵に描いた餅になる可能性もある。

 安倍首相が憲法改正を争点の一つに掲げた19年の参院選では、公明は比例代表の得票数が約654万票で、前回から約104万票減らした。安倍首相が維新と進めようとする憲法改正は、公明の支持母体である創価学会に評判がよくない。憲法改正を次の衆院選の争点にすることに、公明党幹部は警戒心を隠さない。

「憲法改正の発議をするのは国会で、最後は国民投票で決めるのがルール。衆院選の争点で憲法改正を掲げて選挙するというのは、憲法改正の道筋として間違っているし、国民投票の形骸化につながる」

 だが、日本維新の会の馬場伸幸幹事長はこう話す。

「公明とはこれまでいろいろあり、吉村さんは以前、『公明党をぶっこわーす』と言っていたが、今では維新と公明は超大人の関係です」

(本誌・西岡千史、上田耕司/今西憲之)

※週刊朝日  2020年8月7日号