少子化対策の一環として、国が来年度から新婚夫婦に最大60万円補助する方針を固めたと、共同通信など各社が報じた。家賃・引っ越し代など新生活をスタートするための資金を援助し、経済的な理由で結婚に踏み切れない独身者を後押しする狙いだ。一部の市区町村が実施する結婚新生活支援事業の支援金(最大30万円)が倍増されることになる。

 だが、効果を疑問視する声が相次いでいる。社民党の福島瑞穂党首は9月23日の記者会見で、「少子化対策としてやるのであれば、結婚ではなく子育てできる環境整備こそ重要だ」と見解を表明。立憲民主党の蓮舫参院議員もツイッターで疑問を呈している。

 また、結婚、出産という行為が「ガチガチのセット」となっている点に根本的な疑問を感じるというのは、『婚活迷宮の女たち』などの著書を持つ漫画家の倉田真由美さんだ。

「『できちゃった婚』という言葉があるように、日本は結婚せずに子どもを作るのは恥という感覚が強い。フィギュアスケートの安藤美姫さんのような『未婚の母』という発想がはなから念頭にないのが気になります」

 ネット上で抗議を表明するツイッターデモ「#検察庁法改正案に抗議します」の発起人として知られる30代の会社員「笛美さん」も、今回の支援金倍増について「そこじゃない感」があるとSNSでつぶやいた。

 20代のとき、「女性なら若いうちに結婚し出産しなければ」とプレッシャーを感じて結婚相談所に入会し、婚活に打ち込んだ。休日に3〜4人とお見合いする日々を繰り返したが、精神的には苦しかったと振り返る。

「この子と結婚したいと男性に思わせるには、従順で可愛く振る舞わないといけない。自分を偽るのがつらくて続きませんでした。お金だけでなく、固定的な性別役割分担も女性から結婚を遠ざけている一因となっていることに国はもっと目を向けてほしい」

 内閣府に尋ねたところ、担当者は「調整中の段階で詳細が何も決まっていないため、コメントは差し控えたい」と答えた。「自助・共助・公助」をスローガンに掲げる菅義偉首相。女性の疑問の声をどのように受け止めるのか。今後の取り組みに注目したい。(本誌・松岡瑛理)

※週刊朝日  2020年10月9日号