作家・北原みのりさんの連載「おんなの話はありがたい」。今回は、社民党の党首の福島瑞穂氏と自民党の幹事長代行の野田聖子氏、タイプの異なる2人の女性政治家を取り上げる。


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 社民党が分裂を容認し、福島瑞穂党首以外の3人の現職男性国会議員は立憲民主党への合流に前向きだという。

 社会党、そして土井たか子さんら歴代の党首から受け継いだ「護憲」の精神を守ると、福島さんは言い続けてきた。改憲派が入り交じる立憲民主党の傘に入るわけにはいかないという、政治家としての筋を通したのだろう。

 2010年、鳩山内閣の消費者担当相だった福島さんが罷免されたときのことを思い出す。沖縄基地問題で迷走する鳩山由紀夫首相にノーを突きつけたことで、大臣職を解かれた。「私を罷免することは、沖縄を切り捨てることだ」「沖縄県民にこれ以上負担を押しつけるわけにはいかない」と怒りをにじませて語っていた。あのときから福島さんの筋の通し方は変わらない。

 政治家ファミリー出身でなく、ジェンダー平等政策を推し進めてきたベテラン女性議員が、仲間の男性議員から切り捨てられる(ように見える)姿を見るのはつらい。なにより福島さんと全く別タイプの女性議員が、のびのびと「活躍」している永田町を見ると、ジェンダー不平等社会での女性の来し方行く末を考えさせられるというものだ。

 今、国会で最も活躍の場を与えられているのは野田聖子自民党幹事長代行だろう。その野田さんが先日、「野党にどんどん女性(議員候補)を出していただいて」と発言した。自民党は現職男性議員が多く、新しい枠をつくれないというのがその理由だ。また、出演したラジオでは女性閣僚の少なさを問われて「量より質」と言い切っていたので、今の自民党には女性議員を増やす意思すらないのがわかる。

 祖父の地盤を引き継ぎ、県議を一期務めた後に1993年衆議院議員選挙で初当選。あらためて恐ろしいことと思うが、1980年〜1993年まで自民党の女性衆院議員は一人もいなかった。13年ぶりに当選した女性議員が野田氏、たった一人だったのだ。女性の先輩がおらず、紅一点が当たり前の世界で、野田さんは政治家人生を歩んできた。

 一方、福島さんは離婚裁判や「慰安婦」裁判に関わる弁護士として土井さんにスカウトされ1998年に参院議員になった。ジェンダー平等政策に真剣に取り組んできた女性リーダーから、直々に政治を学んだのだ。

 2018年、東京医科大学の入試差別問題が発覚したとき、被害者の女性たちと国会議員にロビーイングする機会があった。そのとき最も熱心に被害者と文科省をつないでくれたのが福島さんだった。弱い立場から語り、権力におもねらず、「シスターフッドが大切!」と本気で語る政治家の存在に、どれほど励まされたことだろう。
 
 性差別社会では、女性たちは生き抜くために分断させられ、争わされる。できれば自分以外の女性などいないほうがよいので、女性同士の連帯は難しい。野田さんは出演したラジオで、杉田水脈衆院議員について「勉強不足」「何を言ってるかわからない」など、辛辣にコメントしていた。それは先輩としての温かい叱咤激励というより、本気で杉田議員をバカにしている口ぶりだった。それでも杉田議員の辞職を求める市民の声は完全拒否。いったい誰の顔を見ているのだろう。それが紅一点であるための戦略であることも含めて、この国を生きる女性としては見たくないものを見せられている気分になる。

 男性に選ばれた少数の女性しかトップに立てない世界では、いつまでも女性が女性を排除する駒でいるだろう。2030年までに女性が決定権ある立場に50%いることを目指すのが、国際社会の方向だ。女性がリーダーであることが当たり前の社会を世界がつくろうとしている中で、日本のジェンダーギャップ指数の順位を下げ続けているのは永田町にほかならない。

 福島瑞穂と野田聖子。ジェンダー不平等すぎる社会だからこその、この両極端の女性政治家。先進国標準は、いったいどちらだろう。信念を守りジェンダー平等を目指す福島さんの筋がきちんと生きる、そういう政治をみてみたい。

■北原みのり(きたはら・みのり)/1970年生まれ。作家、女性のためのセックスグッズショップ「ラブピースクラブ」代表