作家・室井佑月氏は、「国民を守る、という発想がない」菅首相や自民党に存在意義を問う。



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 先週、自民党の政治家は自分たちの選挙のことしか考えていないということを書いた。だから、コロナ対策がおろそかになると。彼らの最大の関心は自分たちの選挙だものな。

 自民党議員は菅首相で総選挙があるのか気がかりだ。菅首相が頭で選挙があるかもしれないから、コロナ対策で首相がどんなに間違ったことや本質からズレていることをしていても、今は傍観するのが賢いと思っている。党として応援に誰をよこすか、金をどれくらいつけてくれるのか、自分が議員でいるために大事なことだから。

 でもって、菅首相の頭の中は、自分が首相でいつづけるための総選挙>東京五輪>コロナ対策(国民の健康と命)と書いたらわかりやすいだろう。東京五輪を自分の選挙に生かしたくて必死。

 こんなことで、コロナウイルスに勝てるのか? 証書できちんとした契約も結ばず、国民へのワクチン接種開始の時期は延び延びになっている。国民には不要不急の外出自粛を呼び掛け、自分らが遊びにいくのはやめない。

 そして、自分らのそういう不手際は置いといて、要請に応じなかった国民には、罰則を、などといいだす。しかも、国会でこのことを問われ、「専門家はおおむね了承した」と嘘(うそ)までついた。感染症部会で、専門家8人は反対だったんだがな。賛成はたった3人、慎重意見が3人だ。つまり、「おおむね反対」だったわけだ。

 このことからもわかるように、政府は専門家のいうことなんてどうでもいいと思ってる。今までのコロナ対策はそのようにやってきたから失敗したのに。それは彼らの頭の中に、国民を守る、という発想がないことの証左でもある。

 第3次補正予算案を閣議決定したのは昨年の12月。それからこの国のコロナの深刻度は増しただろう。なのに、菅自民は予算の組み替えを拒否した。「Go To トラベル」再開への1兆円って、今そこに税金をかけるべきこと?

 そういえば東京五輪のボランティアなど国の事業を一手にひきうけている人材派遣大手の「パソナ」は大儲(もう)けしている。コロナ禍で、国民みんなが大変な時でも、お仲間へは税金がふんだんに流れているみたいだ。

 で、菅首相いわく、あたしたちが困窮したら「最終的に生活保護」があるじゃないか、だってさ。自民党議員が、一部の不正受給者をあげつらって、国民の当然の権利であるのに広く受けづらくしたあの制度ね。

 生活保護は国民の当然の権利。そして、それは政権交代し自民党政権でなくなっても、誰もが受けられる制度。つか、自民党政権じゃなくなったほうが、こんなに冷たいことをいわれなくて済む可能性大。

室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中

※週刊朝日  2021年2月19日号