新型コロナウイルスワクチンの接種に関して、高齢者接種が始まったかと思えば色々とごたごたが噴出している。17日に始まった大規模集団接種の予約システムでは、対象の高齢者以外誰でも予約できてしまうことがAERAdotの独自取材で露呈した。お笑い芸人のカンニング竹山さんは「相馬市モデル」を例に出し、リーダーシップの重要性とその難しさを指摘する。



*  *  *
 そもそもワクチン接種って、どう考えたって難しいですよね? 日本国内の全員に順番でやっていくのって、そんなに簡単なことではない。昨日テレビ番組で偶然見たんですけど、福島県相馬市のワクチン接種のことを報じていて、相馬市では役所が接種する人を指定するというやり方をとっている。地区ごとに抽選をして「この地区は〇日から」という感じで進めて集団接種を行っているそうです。それでスムーズにいっている。

 たしかに、そのやり方が素晴らしいなというか、相馬市らしいなと思った。東日本大震災直後、相馬市にも訪れたことがあって、僕が“おやっさん”って呼んでいる立谷市長が震災直後、批判も恐れずに、役所主導で、仮設住宅の入居の配分をしていったんですよね。

「あなたは、ここに入りなさい」と決めたり、みんなで交代交代で週に1回見回りをするような仕組みを整えたり、共同の洗濯場というかランドリーを決めたり、ご飯も一緒に食べる工夫をしたり、色々な独自の施策をやっていた。

 そのあと、仮設住宅から復興住宅になったんですけど、高齢の方ばかりが暮らしていて、一度そこを訪れたこともあるんです。そこに暮らすおばあちゃんたちがみんなでメシ食いながら楽しそうにお話していて、震災で家族を失い1人になってしまった人も多いんだけど、そこでも洗濯は決められたランドリーみたいな場所があって、暮らしている部屋はもちろん別々なんだけど、「それでやる」って決めたんですよ。

 それをやったことでどうなったかというとコミュニティが生まれたんです。相馬って震災後、自殺とか二次被害で亡くなった人がほとんどいないんですよね。立谷市長に「どうしてですか?」って質問したら、こういう時に一番大事なのはコミュニティだとおっしゃっていた。

 行政が独自に指示を出していくのは、最初強い言い方に聞こえるかもしれないけど、市長がリーダーシップを取って「ここは、こうする」「これは、こうやる」って決めると、みんなが協力し出す。例えば、洗濯の場所を決めてしまうと、井戸端会議じゃないけど、洗濯する場所でおしゃべりが始まりみんなでワイワイし出す。メシはみんなで食うと決めると、そこでも話が弾むと。孤独がなくなるんですよね。なるほどね、と思いました。

 今回のワクチンも相馬市では市長がリーダーシップを取って、役所主導でやっているんですけど、市長は元々内科医なんですよ。それで効率も考えられたのか、ワクチン接種もうまくいっているようで、昨日のテレビ番組で見た限りでは、何も大きな問題が起きなさそうだった。

 その例からして、本当は行政がテキパキと決めるのがいいのかもしれない。極端に言うと、コロナ対策って、悔しいかな、中国が早いですよね。なんで早いかって言うと、我々日本から考えたら恐ろしいくらいの人権を無視した隔離だってやるから。けど、結果、それがコロナ対策としては早いんですよ。

 それで、民主主義国家で何をやるかというとロックダウンじゃないですか。じゃあ、日本国内で何をするかと言えば、日本はいいところもたくさんあるんだけど、やっぱり、国のトップがなかなか強制的にいろいろなことをできないというのがある。これは非常に難しいところで、ワクチン接種に関してもこうなるだろうなって思っていたけど、日本の場合は、上から「お前たちは、こうしろ!」と言われたら絶対、反対運動が起こるだろうし。

 相馬市という地域の大きさとか人口から、今回のようなワクチン接種の順番を決めることができたのかもしれない。相馬市と同じことを東京でやろうとしても、それに対して「権力をかざすな」とか言われるかもしれない。難しいですよね。

 コロナ対策もワクチン接種もそこが非常に難しい問題ですよね。そもそも、ワクチンを反対している人もいるし、打たないと言っている人もいる。そこに「あんた、〇日に打って!」って、日にちを指定されて上から言われると、それこそ、またそれに反発する人も出てくる。非常に難しいなと思う。

 ワクチンと話がずれるんだけど、内閣官房参与の高橋洋一さんの「さざ波」発言。あれは大阪の朝の番組の「教えて!ニュースライブ 正義のミカタ」で論じていたところをそのまま書いてしまった。大阪ローカルで東京には流れていないから、Twitterだけだと“内閣参謀が何言ってんだ!”って書き込まれるんだけど、ある意味他の人の意見を引っ張ってきて、話がすごく大きくなってしまった。

 僕が「バイキングMORE」で“高橋さんは間違ったことは言ってないよ”という発言の流れのひと言が切り取られネットニュースに載ると、“政権擁護派”にされてしまうんですよ。僕を”政権擁護派”とする書き込みを見て、全ての物事に対して、「敵か味方か」決めすぎじゃないって!? 笑っちゃったツイートがあって、「吉本の芸人は全員、政権擁護派しかいない」って書き込まれていて、誰々って名前も書き込んであった。俺の名前もあったんですけど、俺、吉本じゃねぇーし(笑)。

 言ってみれば、それくらいのレベルの人が書き込んでいて、ニュースソースも関係する情報も何も下調べしていない。イメージだけでバンバン書いているんでしょう。その人にとっては、お笑い=吉本というイメージ。お笑いもいろんな分野があって、いろいろな芸人さんがいるってことには、その書き込みをした人には興味もないことだし、調べもしないんでしょう。結局、それは、色々な事にも共通することで、Twitterで見たことに対して、「こうだ!」って決めつけ過ぎ。

 そこで思うのが、感情論にならないようにして、下調べして、今勉強しているのが入国管理法ですよね。たしかに、ひどい話ですよね。入国管理局は殺人してんじゃねぇーかってことなんだけども、そういった感情に流されずに、もう一回、自分で入管法を調べてみないと、これ、意見も言えねぇーなと思ったんです。本当に正しいのか悪いのか? 

 亡くなったスリランカの女性にやったことはひどいと思う。殺したのも同じではないかとは思っている。でも、法務省側と入国管理局の言い分だってありますよね。一人の命は亡くなってしまっているので、このことに関しては、先ほども話した「敵か味方か」論になってしまっているところもあると思うんですよね。だから、ネットとかメディアに流されずにちょっと立ち止まって勉強しようとしている。そういう風にしないと危険な方向に行ってしまうのかもしれない。

 それは、ワクチンのこととも似ているのかもしれない。調べないでワーワー騒いでいたら何がいいのか悪いのかわからなくなる。

 SNSが普及してやっかいなのが、自分の意見と反する人の意見を見つけると反撃し出すこと。そのイタチごっこになってしまっているだけで、そうじゃなくて、何においても賛成の人も反対の人もいい世の中にしたいわけでしょ? 平和な世の中にしたいわけですよね? 

 そこは、敵も味方も、賛成派も反対派も、右も左もない。ワクチン接種のこともそうで、じっくり考えて、もう少し冷静に収めていきましょうという感じなのではないか? 自分のワクチン接種の順番を待つ! ワクチンを早めに受けないとハズレて打てないというわけではないのだから。

■カンニング竹山/1971年、福岡県生まれ。お笑い芸人。2004年にお笑いコンビ「カンニング」として初めて全国放送のお笑い番組に出演。「キレ芸」でブレイクし、その後は役者としても活躍。現在は全国放送のワイドショーでも週3本のレギュラーを持つ。オンラインサロン「竹山報道局」は、4月1日から手作り配信局「TAKEFLIX」にリニューアル。ネットでCAMPFIRE を検索→CAMPFIREページ内でカンニング竹山を検索→カンニング竹山オンラインサロン限定番組竹山報道局から会員登録。カンニング竹山とCalmeraによるユニット・タケヤマカルメラが「ヘイ・ユウ・ブルース」のカバーを披露。「ヘイ・ユウ・ブルース 〜許せ、友よ〜」はこちらから→https://calmera.lnk.to/hyb