独ブンデスリーガのマインツに所属する武藤嘉紀選手が「AERA」で連載する「職業、ブンデスリーガー」をお届けします。大学在籍時からFC東京に所属し、日本代表にも選出。現在はマインツで活躍する武藤選手が異国の地での戦い、生活ぶりをお伝えします。

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 ドイツに戻り、新シーズンに向けたトレーニングが始まりました。マインツは新監督を迎え、新たなチームづくりが行われることになります。

 僕にとってブンデスリーガ3年目のシーズンですが、改めて「ゼロからのスタートだ」というのが、今の率直な心境です。

 新監督のもと、選手それぞれにも、その意識が浸透しています。「まずはチーム内の競争を勝ち抜かなければ」という気持ちがみなぎっていて、毎日の練習は、さながら「アピール合戦」のよう。初日から行われた紅白戦もいつも以上に激しく、互いにライバルだという雰囲気が、ひしひしと感じられます。

 ふと思い出したのは、日本で迎えたプロ1年目のことです。

 僕は大学3年時に特別指定という制度でJリーグに参加し、翌年、プロになる決断をしました。ただ、新たな環境に加え、当時のチームは、セルビア出身の監督から、イタリア人の監督に代わり、不安がないわけではありませんでした。どのようなプレーが求められ、それに応えられるのか、自分のプレーを理解してもらえるのか……と。そう考え始めると、少々弱気になったこともありました。

 けれども、新監督のもとでは、選手の実績や経歴、「名前」も一旦リセットされるはずです。それを好機だと考えました。

 何より、自分自身が「うまくなりたい、成長したい」という気持ちがまさり、真摯にサッカーに取り組み、誰よりも努力しようと決めました。

 その姿勢は今も変わっていませんが、初心に立ち戻り、より一層ひたむきに、がむしゃらさを発揮し、自分をアピールしていこうと思います。

 奇しくも、先頃、ワールドカップ・プレ大会の「コンフェデレーションズカップ」で、若手主体で臨んだドイツ代表が優勝しました。さらに「U−21欧州選手権」でもタイトルを獲得し、今、ブンデスリーガの「勢い」というものを感じます。世界一のメンバーが集う舞台で、自分がどれだけ成長でき、結果を残せるのか。それに挑めることが、とても楽しみでもあります。

※AERA 2017年7月17日号